セッション情報 ポスター

膵 外科治療

タイトル P-130:

膵体尾部切除術クリニカルパス導入による周術期管理の改善

演者 岡田 恭穂(東北大学肝胆膵外科)
共同演者 元井 冬彦(東北大学肝胆膵外科), 青木 豪(東北大学肝胆膵外科), 深瀬 耕二(東北大学肝胆膵外科), 大塚 英郎(東北大学肝胆膵外科), 乙供 茂(東北大学肝胆膵外科), 坂田 直昭(東北大学肝胆膵外科), 水間 正道(東北大学肝胆膵外科), 中川 圭(東北大学統合癌治療外科), 森川 孝則(東北大学胃腸外科), 林 洋毅(東北大学肝胆膵外科), 吉田 寛(東北大学肝胆膵外科), 内藤 剛(東北大学胃腸外科), 三浦 康(東北大学胃腸外科), 片寄 友(東北大学統合癌治療外科), 柴田 近(東北大学胃腸外科), 江川 新一(東北大学肝胆膵外科), 海野 倫明(東北大学消化器外科)
抄録 【目的】膵体尾部切除術(DP)は,高侵襲かつ合併症発生頻度が高い膵臓手術の中では,定型的な臨床経過をたどることが多い.周術期管理の標準化を目指すクリニカルパスを導入しやすい手術である.我々は2008年よりDPパスを導入したので運用実績とパス導入が周術期管理に与えた影響について検討した.
【対象・方法】当科におけるDP施行症例について,2005年1月から2008年9月のDPパス導入までを「導入前群」(N=31),その後2012年4月までを「導入後群」(N=48)として比較解析した.男性44例,女性35例,導入前後で平均年齢は56.7歳と63.6歳で有意差が見られた(p=0.03).パス導入前後で術式の頻度に有意差はなかった.
【結果】各合併症発生頻度,Clavien分類の頻度・術後在院日数に有意差は生じなかった.更に中央値で見るとパス導入前後で術後在院日数は21.5日から19日に短縮した.またパス導入前後で,術後食事開始までの日数は4日から2日へ,全粥までの日数も2日から1日へとそれぞれ短縮される傾向が生じた.
【考察】周術期管理の標準化や合併症基準・退院許可基準の明確化もなされ,術後評価項目に有意差は生じず,安定したパス運用がなされた.2010年4月にはERASプログラムを加味してパス改訂を行った.課題は(1)膵手術に宿命的な高いバリアンス率を減らすため改善に重点を置くべき点.(2)術後11病日以後に退院可能としているが,術後在院日数中央値は19日であるため,明らかに超過している.またドレーンは膵断端・左横隔膜下の2本を設定しているが,1本で充足する場合も多い(導入前群で12例:39%,導入後群で16例:33%).今後設定見直しの可能性が残る.(3)今後増加の可能性があるDP-CARや腹腔鏡下手術をどのように位置づけるか,が挙げられる.
索引用語