セッション情報 ポスター

膵 外科治療

タイトル P-131:

局所進行膵管癌に対する当科の集学的治療戦略

演者 阿部 雄太(慶應義塾大学外科)
共同演者 北郷 実(慶應義塾大学外科), 相浦 浩一(川崎市立病院外科), 田邉 稔(慶應義塾大学外科), 板野 理(慶應義塾大学外科), 篠田 昌宏(慶應義塾大学外科), 八木 洋(慶應義塾大学外科), 日比 泰造(慶應義塾大学外科), 藤村 知賢(慶應義塾大学外科), 大平 正典(慶應義塾大学外科), 門多 由恵(慶應義塾大学外科), 永 滋教(慶應義塾大学外科), 香月 優亮(慶應義塾大学外科), 田中 真之(慶應義塾大学外科), 筒井 りな(慶應義塾大学外科), 石井 正嗣(慶應義塾大学外科), 猪俣 研太(慶應義塾大学外科), 岸田 憲弘(慶應義塾大学外科), 北川 雄光(慶應義塾大学外科)
抄録 手術切除だけでは十分な治療効果とはいえない通常型膵癌に対して当教室で行なっている集学的治療戦略を報告する.画像上膵外浸潤陽性例(JPS T3/4症例)に対して術前治療として放射線化学治療(NACRT)と外科的切除,そして術後補助化学療法として門注療法(PI)を組み合わている.NACRTでは5-FU 300mg/day(or TS-1 60mg/m2/day)day1-5/w x4wとHeparin 6000U/day day1-28,MMC 4mg/day x1/w x4w,CDDP 10mg/day x1/w x4w,RT 2Gy day1-5/w x4w計40Gy.を施行(n=31).全例完遂した.NACRT後の画像あるいは術中所見で非手術となったのは肝転移4例,腹膜播種2例,動脈浸潤1例であり,残りの24例(切除率77.0%)に切除が行われた.NACRT終了から手術までの期間は40±13日,21例がR0となり,組織学的治療効果はGrade1a/1b/2a/3がそれぞれ5/13/4/2でpCRを2例に得た.切除後20例に補助療法としてPIを施行した.PIは術直後より5-FU 250mg/dayとHeparin 2000U/dayの門脈内持続注入を4週間,MMC 4mg/dayとCDDP 10mg/dayを併用投与(x1/w,x4w)した.NACRT切除例の局所再発率は17.4%でNACRTを行わなかった切除例の37.4%より良好であった.肝転移率は15.0%とPIを行わなかった切除例の39.7%より良好であった.NACRT+切除+PIをすべて施行し得た症例(n=20)とNACRT後切除不能症例(n=7)の1/2/3/5年生存率はそれぞれ89/71/71/58%と43/14/0/0%であった.NACRTは局所制御効果により切除断端の陰性化と潜在的遠隔転移症例を顕在化することによる切除適格症例を選択し,PIは術後の肝転移を抑制することにより集学的治療の成績を向上させる可能性が示唆された.
索引用語