セッション情報 ポスター

硬化性胆管炎

タイトル P-134:

原発性硬化性胆管炎の病態における自然免疫の関与

演者 松下 浩志(岡山大学消化器・肝臓内科学講座)
共同演者 三宅 康広(岡山大学消化器・肝臓内科学講座), 山本 和秀(岡山大学消化器・肝臓内科学講座), 池田 房雄(岡山大学消化器・肝臓内科学講座), 小池 和子(岡山大学消化器・肝臓内科学講座), 白羽 英則(岡山大学消化器・肝臓内科学講座), 高木 章乃夫(岡山大学消化器・肝臓内科学講座), 能祖 一裕(岡山大学消化器・肝臓内科学講座)
抄録 【背景・目的】原発性硬化性胆管炎(Primary sclerosing cholangitis:PSC)は,肝内外の胆管に原因不明の狭窄を来たし,肝硬変へ進行する難治性の疾患である.PSCの病態については細菌の関与が報告されているが,詳細な病態は明らかでない.今回,我々はPSCの病態における自然免疫の関与について検討した.【方法】対象は,1991年から2012年までに入院したPSC患者29例のうち肝生検または肝移植時の摘出肝のある19例.各症例の肝組織切片を用いてToll-like receptor(TLR)4,TLR 9,nucleotide-binding domain,leucine-rich-containing family,pyrin domain-containing 3(NLRP3)の発現について検討した.【結果】対象の年齢中央値は29(15-68)歳であり,男性が13例(72.2%),UC合併例は10例(55.6%),肝移植を受けた症例は6例(31.6%).胆管細胞におけるTLR4,TLR9,NLRP3の発現は各々16例(84.2%),5例(31.3%),(26.3%)15例(78.9%)で認められ,肝細胞では各々17例(89.5%),7例(36.8%),10例(52.6%)で発現が認められた.胆管細胞におけるNLRP3の発現はUC合併例で10例(100%),非合併例で5例(55.7%)に認められ,UC合併例の胆管細胞におけるNLRP3発現率が有意に高かった(p=0.032).また,胆管細胞においてNLRP3を発現している症例では,TLR4も強く発現されていた(p=0.029).病期との関連では,Ludwig分類が進行している症例の胆管細胞でTLR9の発現率が有意に高かった(p=0.025).【結語】PSCではUC合併の有無により,自然免疫の病態への関与が異なる可能性が示唆された.また,PSCの病期進行にTLR9による自然免疫が関与している可能性が考えられた.
索引用語