セッション情報 ポスター

硬化性胆管炎

タイトル P-135:

硬化性胆管疾患の見直し

演者 石井 康隆(広島大学病院消化器・代謝内科)
共同演者 佐々木 民人(広島大学病院消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大学病院消化器・代謝内科)
抄録 【目的】原発性硬化性胆管炎(PSC)とIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)の臨床的,画像的特徴を比較した.【対象】当科で経験したPSC 22例,IgG4-SC 25例,血清IgG4を測定した肝外胆管癌(BDC)7例(肝門部4例,下部3例)を対象とした.臨床的項目は,性別,年齢,胆管外病変の有無,炎症性腸疾患合併(IBD)の有無,血清IgG4値(mg/dl),ALP値(IU/l),CA19-9値(U/ml)を検討した(中央値).画像所見では,直接胆道造影による胆管像を比較し,PSCに特徴的とされるa.帯状狭窄,b.数珠状所見,c.剪定様所見,d.憩室様突出,IgG4-SCに特徴的とされるe.肝門部胆管の長い狭窄とその末梢胆管の拡張,f.下部胆管の狭窄の出現頻度を検討した.【結果】性別(男/女)はPSC 12/10:IgG4-SC 23/2:BDC 6/1で有意差を認めた.年齢(歳)はPSC 46:IgG4-SC 66:BDC 68で,PSCが他の2群と比較して有意に若年であった.胆管外病変の合併はIgG4-SCは全例(AIP 25例,唾液腺炎2例,後腹膜線維症2例)で認めたが,他の2群では認めなかった.IBDはPSC 7例で認められたが,他の2群では認めなかった.IgG4はPSC 42:IgG4-SC 461:BDC 47で,IgG4-SCが有意に高値あった.CA19-9はPSC 6.5:IgG4-SC 24:BDC 147で,PSCは他の2群と比較して有意に低値であった.ALPは3群間で差は認められなかった.PSCに特徴的な所見(a~d)はPSCでは全例(a.22例,b.12例,c.9例,d.5例)で認められたのに対し,BDCではいずれの所見も認められず,IgG4-SCでは2例で帯状狭窄が認められるのみであった.IgG4に特徴的な胆管像(e,f)は,IgG4-SCではe.24例,f.7例,PSCではe.7例,f.10例で認められた.胆管像eを認めたPSC 7例のうち4例は肝門部に胆管癌を合併していた.BDC 7例のうち5例は経乳頭的な鉗子生検で確定診断され,2例は胆汁細胞診およびブラシ擦過細胞診でClassIIIであった.【結語】PSCとIgG4-SCは臨床像と胆管像を評価すれば比較的容易に鑑別可能であるが,PSCの肝外胆管に長い狭窄を認める場合には胆管癌の合併を考慮した慎重な精査が必要である.
索引用語