抄録 |
【目的】IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)はIgG4関連疾患の中で自己免疫性膵炎(AIP)に次いで頻度の高い疾患とされ,臨床診断基準2012が提唱されたが,その臨床像は未だ明らかにされていない点が少なくない.今回,我々が経験したIgG4-SC症例の現状をretrospectiveに検討し,その臨床像について報告する.【方法】対象は,IgG4-SC臨床診断基準2012の確診または準確診に該当する17例である.今回の検討では,診断基準の胆管像でType1に相当する下部胆管のみに所見が存在する症例については,AIPによる胆管所見の可能性を否定できないため除外した.検討項目は,(1)症例内訳(年齢,性別,病変の主座,他のIgG4関連疾患の合併),(2)血液所見(IgG,IgG4,ANA,CEA,CA19-9),(3)CT所見,(4)治療内容,とした.CT所見の評価項目は,胆管壁肥厚部位の形態(同心円状,内腔開存,最外層平滑),造影動態,膵腫大の有無であり,結果を知らない放射線医師が評価した.【結果】(1)年齢中央値は69歳(54-79歳),男性16,女性1例で,主座は肝内・肝門部6,上部胆管5,中部胆管6例であった.他のIgG4関連疾患の合併は,AIP14(AIP診断時および治療中11,AIP軽快後2,IgG4-SC先行1),後腹膜線維症1例であった.(2)血清IgGの中央値1683mg/dl(1052-4334),IgG4 341mg/dl(147-1400),ANA 40倍(40未満-640),CEA 3.9U/ml(0.5-19.2),CA19-9 28.8ng/dl(1.0未満-154.3)であった.(3)CT所見は同心円状71%(12/17),内腔開存41%(7/17),最外層平滑59%(10/17),造影早期に造影増強効果なし41%(7/17),膵腫大41%(7/17)であった.(4)治療内容はステロイド治療14,保存的治療3例であり,ステロイド治療を行った全例に胆管狭窄の改善効果が得られた.【結論】IgG4-SCは比較的高齢の男性に多く,82%がAIPを合併した.CT所見では同心円状の壁肥厚が特徴的であり,ステロイド治療は施行した全例で奏功した. |