セッション情報 ポスター

硬化性胆管炎

タイトル P-137:

原発性硬化性胆管炎に合併した肝内外胆管結石に対する内視鏡治療

演者 田村 哲男(虎の門病院消化器科)
共同演者 今村 綱男(虎の門病院消化器科), 竹内 和男(虎の門病院消化器科), 小泉 優子(虎の門病院消化器科), 小山 里香子(虎の門病院消化器科)
抄録 【目的】原発性硬化性胆管炎(以下PSC)に伴う肝障害の原因には胆汁鬱滞のほか,肝内外胆管に生じた結石により胆汁流出障害を来たす場合もある.PSCに合併した肝内外胆管結石を内視鏡的に治療した3例を報告する.【症例1】65歳男性.60歳時にPSCと診断.2012年発熱を主訴に受診し,総ビリルビン7.1mg/dl,Cr8.6mg/dlと急性腎不全を合併した重症胆管炎で入院.肝内外胆管に無数の結石が認められ,一部の肝内胆管は結石で充満していた.緊急ERCP施行しプラスチックステント留置を行ったが,ステントのみでは胆管炎のコントロールが得られず,合計13回の採石処置と必要に応じて狭窄部のバルーン拡張術を行い3次分枝までの結石除去ができた.その後胆管炎の再発は認めていない.【症例2】28歳男性.23歳時にPSCと診断.2010年と2012年に黄疸で入院.総胆管から肝内胆管にかけて結石が複数認められ,肝内結石も含めて採石した.術後ビリルビンの低下が得られた.【症例3】63歳女性.53歳時に潰瘍性大腸炎を合併したPSCと診断.2012年顕性黄疸が出現し入院.MRI,USでは肝内外胆管に結石が無数に認められ,特に右肝内胆管には鋳型状に充満した結石が認められた.ERCPを施行し合計7回の採石処置とバルーン拡張術を行い,3次分枝まで認められた結石の除去ができた.処置後にはビリルビンの正常化と掻痒感の改善が得られた.【結論】PSCに対する内視鏡的結石除去術は,自覚症状,胆汁鬱滞の改善に有用であった.肝移植がPSCに対しての根治的な治療であるが,社会的背景もあり本邦では一部の施設でのみ施行されているにすぎない.肝移植以外の治療では胆汁鬱滞による肝障害の進行防止が中心になるが,内視鏡治療としては胆管ステンティングや狭窄部のバルーン拡張術などが報告されている.PSCでは肝内胆管まで結石,胆泥が充満し,所々に強固な狭窄も存在するため複雑な操作が要求されるが,今回の経験から困難と予測されても内視鏡的結石除去術を試みる価値があると考えられた.
索引用語