セッション情報 | ポスター肝膿瘍 |
---|---|
タイトル | P-141:当院における肝膿瘍症例の臨床的検討 |
演者 | 林 宣明(福井県立病院消化器内科) |
共同演者 | 鳥居 志充(福井県立病院消化器内科), 西山 悟(福井県立病院消化器内科), 内藤 慶英(福井県立病院消化器内科), 藤永 晴夫(福井県立病院消化器内科), 波佐谷 兼慶(福井県立病院消化器内科), 青柳 裕之(福井県立病院消化器内科), 辰巳 靖(福井県立病院消化器内科), 伊部 直之(福井県立病院消化器内科) |
抄録 | 【目的】当院における肝膿瘍症例の臨床的特徴や治療効果に関して検討を行った.【対象と方法】2007年6月から2012年6月までの5年間に,当院で入院治療を行った47例(男性37例,女性10例)を対象とした.検討項目は臨床症状,初診から診断までの日数,検査所見,基礎疾患,起炎菌,治療内容,治療の有効性,入院日数とした.【結果】平均年齢は69±13歳(23~88歳),65歳以上の高齢者が32人(68%)であった.臨床症状として,発熱43例(92%),腹痛14例(30%)であった.初診時から診断までの日数は2.2±3.9日であり,対象期間の前半の2.5年間では2.7±4.6日,後半では1.8±3.2日と短縮傾向を認めた.血液検査所見では,WBC上昇が38例(81%),CRP上昇47例(100%),肝胆道系酵素上昇43例(92%)であった.画像所見では多発例が10例(21%),膿瘍のサイズは46±2.1mm(6~107mm)であり,膿瘍ドレナージ群で61mm,保存的治療群で41mmであった.基礎疾患は30例(64%)に存在し,糖尿病15例(32%),肝胆道系疾患18例(38%),悪性腫瘍9例(19%)であった.細菌検出率は25例(53%),中ではKlebsiella Pneumoniaが17例(36%)と最も多かった.アメーバ性肝膿瘍と同定できた症例を認めなかった.治療の内訳は膿瘍ドレナージ10例(21%),穿刺吸引1例(2%),保存的治療36例(77%)であった.死亡例は1例(2%)で,入院日数はドレナージ群では26±11日,非ドレナージ群では25±12日であった.【考察】当院での肝膿瘍症例は臨床症状が発熱のみで腹痛を伴わない症例も多く,高齢者男性に多い傾向を認めた.基礎疾患を有しない65歳未満の発症も6例(13%)認めており,感染源の特定できていない発熱の鑑別疾患として,肝膿瘍も積極的に検討すべきと考えられた.また,調査期間の後半では,診断までにかかる日数の短縮傾向を認めており,以前に比べて腹部超音波検査や造影CTが簡便に選択できるようになってきたためと考えられた. |
索引用語 |