セッション情報 ポスター

肝膿瘍

タイトル P-142:

高齢者に発症する肝膿瘍の臨床的特徴の検討

演者 松本 修一(福岡徳洲会病院肝臓内科)
共同演者 滝澤 直歩(福岡徳洲会病院総合内科), 児玉 亘弘(福岡徳洲会病院総合内科), 松林 直(福岡徳洲会病院心療内科)
抄録 【目的】高齢者に発症する肝膿瘍の臨床的特徴を検討する.【方法】対象は,平成22年1月から平成24年7月までの期間に当院の内科および外科で入院加療を行った症例の入院病歴総括に肝膿瘍と記載されている症例のうち肝悪性腫瘍関連の肝膿瘍,腹部手術後の続発性肝膿瘍は予め除外した13例である.これら13例のカルテレビューを行い,65歳以上と65歳未満に分けて,年齢,性別,糖尿病の有無,細菌学的特徴,細菌の侵入門戸となり得る疾患,常用薬を比較検討した.【結果】対象13例のうち65歳以上は6例(中央値80歳(72-90歳)),65歳未満は7例(中央値56歳(47-62歳))であった.65歳以上は65歳未満に比較して女性が多く(5/6例vs. 0/7例:p<0.01),糖尿病の有病率が高率であった(5/6例vs. 1/7例:p<0.05).尚,糖尿病合併例では,HbA1c(JDS)値8.8±2.6%と血糖コントロール不良であった.起因菌は,65歳以上ではKlebsiella pneumoniae:3例,Stptrptococcus属:3例であり,65歳未満ではKlebsiella pneumoniae:1例,Stptrptococcus属:1例,Fusobacterium属:1例,アメーバ:1例,不明:3例であった.消化管の精査により細菌の侵入門戸になり得るような疾患を発見できたのは,65歳以上で2/6例,65歳未満で3/7例であった.常用薬のある割合は65歳以上が65歳未満に比較して高率であった(5/6例vs. 1/7例:p<0.05).尚,糖尿病を有する65歳以上のうちボグリボース:3/5例,抗不安薬などの向精神薬:3/5例と高率に消化管蠕動を抑制する可能性のある薬の内服があった.【結論】高齢者に発症する肝膿瘍の特徴として,今回の検討からは女性に多く,糖尿病を有しており血糖コントロール不良,腸管蠕動を抑制する可能性のある内服薬歴があることが特徴である.今回の検討では頑固な便秘の既往など腸管の内圧が上昇するような状況の有無は明らかにはできなかったが,高齢者の糖尿病患者にボグリボースや精神神経薬を処方する際には注意をする必要がある.
索引用語