セッション情報 ポスター

肝膿瘍

タイトル P-144:

免疫組織化学的,超微形態学的に海綿状血管腫の退行性変化としての硬化性血管腫の検討

演者 島田 芳隆(北里大学北里研究所メディカルセンター病院内科)
共同演者 渡邊 真彰(北里大学北里研究所メディカルセンター病院内科), 高橋 禎人(北里大学北里研究所メディカルセンター病院外科), 織田 正也(国際医療福祉大学山王メディカルセンター内科), 横森 弘昭(北里大学北里研究所メディカルセンター病院内科)
抄録 【目的】硬化性血管腫の一例は海綿状血管腫が退行性変化を起こし線維化,硝子様硬化をきたしたもので,画像診断をしばしば困難にするものである.血管内皮細胞膜の陥凹であるcaveolaには構成蛋白であるcaveolin(CAV)-1が局在している.今回我々は海綿状血管腫から硬化性血管腫の経過で画像上の変化,免疫組織化学的,超微形態学的に検討した.【方法】症例は超音波上肝腫瘤を指摘され当院に紹介受診した.腫瘍マーカーは陰性で,腫瘍は単純CTで肝S7に1.5cm大の低吸収域を認めた.造影CTで造影早期相では腫瘤辺縁部が濃染し,後期相で内部に軽度の造影効果がみられた.MRIではT1強調で低信号でT2強調で軽度の高信号腫瘤として描出され,動脈相では明瞭なring増強で造影効果に乏しい腫瘤の所見であり悪性腫瘍が疑われたため肝部分切除を行い,免疫組織化学的に,超微形態学的に検討した.【結果】肉眼的病理所見は.肝表面近傍に弾性軟な15mmの腫瘍を認め,腫瘍辺縁部は広範な瘢痕硝子化の強い組織で間質の著明な増加を伴う腫瘍であり,病理組織学的所見では硝子化した膠原線維の増生が高度に観察され,CD34染色,alfa SMA染色でそれぞれ内皮細胞,平滑筋細胞が染色された.超微形態学的に海綿状血管腫では血管内皮細胞が迷路状に存在しcaveolae構造,マイクロフィラメントの増生がみられ平滑筋細胞は肥厚していた.CAV-1は正常血管において平滑筋細胞や血管内皮細胞に局在したが海綿状血管腫では主に血管内皮細胞に局在し,硬化性血管腫では硬化性血管腫部分には肥満細胞,線維芽細胞がみられ,マイクロフィラメントの増生がみられるもののCAV-1の局在は軽微であった.【結論】海綿状血管腫から硬化性血管腫に至る過程でCAV-1の関与の可能性を示唆した.
索引用語