セッション情報 ポスター

肝 他1

タイトル P-145:

肝嚢胞に対して経皮経肝ドレナージ/開窓術を施行した29例の臨床的検討

演者 谷 奈緒子(箕面市立病院消化器内科)
共同演者 高石 健司(箕面市立病院消化器内科), 平野 美樹(箕面市立病院消化器内科), 渡邉 由佳(箕面市立病院消化器内科), 山崎 正美(箕面市立病院消化器内科), 山北 剛史(箕面市立病院消化器内科), 西原 彰浩(箕面市立病院消化器内科), 由良 守(箕面市立病院消化器内科), 大島 聡(箕面市立病院消化器外科), 田村 信司(箕面市立病院消化器内科)
抄録 【目的】肝嚢胞に対する治療としては,経皮経肝ドレナージ後にエタノール(Et)・塩酸ミノサイクリン(MINO)等を注入する硬化療法や腹腔鏡下開窓術が広く行われているが,治療法選択の明確なガイドラインは無い.今回我々は肝嚢胞に対する治療法別の治療効果を検討した.【方法】平成15年4月以降に当院で肝嚢胞に対しドレナージあるいは開窓術を施行した29例(延べ件数32例)の患者背景,臨床症状,嚢胞体積の経時的変化率を治療法別に検討した.【成績】患者背景は単純性肝嚢胞28例成人性多発肝嚢胞1例,男性5例女性24例,平均年齢67.7歳.自覚症状あり21例,なし11例.5例が嚢胞感染(うち1例がEt注入療法2ヶ月後発症,1例がPD+開窓術9ヵ月後発症)だった.治療法はEt17例,MINO1例,ドレナージのみ1例,腹腔鏡下開窓術12例,開腹下開窓術(PD施行時)1例.自覚症状は治療後全例で改善を認めた.嚢胞体積が治療3ヵ月後20%以下に縮小したのはEt53%(9/17例)開窓術80%(8/10例)で開窓術の方が高率に縮小を認めた.MINOとドレナージのみはいずれも嚢胞感染例で,3ヵ月後20%以下に縮小した.Etで3ヵ月後20%以下に縮小したのは嚢胞体積500ml未満71%(5/7例)500ml以上40%(4/10例),合計Et注入量が嚢胞体積の5%以上75%(6/8例)5%未満33%(3/9例)で,嚢胞が小さくEt注入量が多い方が早期の嚢胞縮小を認めた.Et注入3ヵ月後20%以下に縮小しなかった症例でも50%(3/6例)で12ヶ月以降に20%以下に縮小を認めた.【考案】早期の嚢胞縮小はEt注入より開窓術が有効だが,Et注入では緩徐に嚢胞が縮小することがあり長期の経過観察が望ましく,早期の嚢胞縮小を得るには嚢胞の大きさとEt注入量に留意する必要がある.また,治療後に嚢胞感染を起こすことがあり術後経過に注意が必要である.【結語】今回は主にEt注入と開窓術の治療効果を検討した.今後他の注入薬剤を含め治療効果を検討していきたい.
索引用語