セッション情報 ポスター

肝 他1

タイトル P-146:

巨大肝嚢胞に対する硬化療法の有用性

演者 加藤 順(鳥取大学医学部附属病院機能病態内科学)
共同演者 孝田 雅彦(鳥取大学医学部附属病院機能病態内科学), 三好 謙一(鳥取大学医学部附属病院機能病態内科学), 木科 学(鳥取大学医学部附属病院機能病態内科学), 藤瀬 幸(鳥取大学医学部附属病院機能病態内科学), 徳永 志保(鳥取大学医学部附属病院機能病態内科学), 岡野 淳一(鳥取大学医学部附属病院機能病態内科学), 法正 恵子(鳥取大学医学部附属病院機能病態内科学), 村脇 義和(鳥取大学医学部附属病院機能病態内科学)
抄録 【目的】肝嚢胞の大部分は無症状であるが,巨大な例では時に腹部膨満感や腹痛などの症状を呈し,治療対象となる.内科的治療として,エタノール,塩酸ミノサイクリン,エタノールアミンオレイト(EO)注入による硬化療法が試みられている.今回,当院にて硬化療法を施行した巨大肝嚢胞治療効果及び合併症について検討を行ったので報告する.【方法】2000年以降に当院で硬化療法を行った7例を対象として検討を行った.【結果】症例は男性1例,女性6例で,平均年齢は69.1歳(57~82歳),硬化療法後の平均観察期間は29カ月(1~63か月)であった.全例でそれぞれ1個の嚢胞を対象として治療が行われた.症状は腹痛が5例,腹部膨満感が2例であった.2例で多発性嚢胞腎を合併していた.初回治療はエタノール5例(3例で塩酸ミノサイクリン併用),塩酸ミノサイクリン1例,EO 1例であった.治療前の嚢胞最長径は平均184mm(150~210mm),治療1~2か月後の嚢胞最長径は平均132mm(56~230mm)であり,治療前の約72%に縮小していた.7例中6例に縮小を認め,EOを用いた1例でのみ増大したが,初回治療6カ月後にエタノール(塩酸ミノサイクリン併用)で再治療を行い縮小した.1年以上経過観察し得た5例では,治療1年後(再治療例では初回治療6ヶ月後に再治療を行ったため,再治療1年後)の嚢胞最長径は平均52mm(20~150mm)であり,治療前の約28%に縮小していた.治療前の症状は全例で消失した.治療前の嚢胞自体の合併症として嚢胞内出血と嚢胞感染を1例ずつ認め,硬化療法の合併症としては嚢胞感染を2例に認めた.【結論】エタノール及び塩酸ミノサイクリン使用例では全例で有効であった.有効例では,程度の差はあるものの経時的な嚢胞の縮小が認められた.初回EO使用例では無効であったが,エタノール(塩酸ミノサイクリン併用)による再治療が有効であった.症状を有する巨大肝嚢胞に対する硬化療法は安全で有用な治療法である.
索引用語