セッション情報 ポスター

肝 他1

タイトル P-147:

肝血管筋脂肪腫の3例

演者 田中 梨絵(近畿大学医学部消化器内科)
共同演者 上嶋 一臣(近畿大学医学部消化器内科), 千品 寛和(近畿大学医学部消化器内科), 有住 忠晃(近畿大学医学部消化器内科), 田北 雅弘(近畿大学医学部消化器内科), 北井 聡(近畿大学医学部消化器内科), 井上 達夫(近畿大学医学部消化器内科), 矢田 典久(近畿大学医学部消化器内科), 萩原 智(近畿大学医学部消化器内科), 南 康範(近畿大学医学部消化器内科), 西田 直生志(近畿大学医学部消化器内科), 工藤 正俊(近畿大学医学部消化器内科)
抄録 【はじめに】肝血管筋脂肪腫(angiomyolipoma:AML)は比較的稀な良性間葉系腫瘍である.今回,我々はAMLと診断された3症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
【症例1】50代の男性.nonBnonC.検診のUSにて肝S6に5cm大の肝腫瘍を指摘された.AFP,PIVKA-IIは陰性.EOB-MRIでは脂肪成分を含んでおり,早期相で濃染を認め,肝細胞相ではdefectとして見られた.造影CTでも多血性であり,USでは内部にhigh~low echoが混在しており,造影USでは肝静脈への流出血管を同定可能であり,AMLが疑われたが,背部痛を認めたため腹腔鏡下肝切除術を施行し,病理所見よりAMLと診断した.
【症例2】50代の女性.HBs抗原陽性.検診でトランスアミナーゼ高値を指摘された.AFP高値であり,造影CTやEOB-MRIにて肝S8に約2cm大の多血性の腫瘍を認めた.USでは内部にhigh~low echoが混在しており,多血性で,造影USでは肝静脈への流出血管を同定した.画像所見よりAMLが疑われたが,肝細胞癌の可能性も否定できず,肝生検を施行した.病理所見よりAMLと診断し,経過観察中である.
【症例3】20代の女性.nonBnonC.結節性硬化症と両腎AMLのフォロー中に多発する約1cm大の肝腫瘍を指摘された.造影CTやEOB-MRIでは多血性で,造影USでもいずれも早期血管相では多血性であり,後期血管相では部分的にdefectであり,AMLと診断し経過観察中である.
【考察】AMLは血管,平滑筋および脂肪の3成分で構成され,画像所見は極めて多彩であり,悪性腫瘍との鑑別に苦慮することがしばしばある.特に脂肪成分に富むものでは脂肪を含む高分化型の肝細胞癌の可能性を除外できず,切除せざるを得ない症例も少なくない.しかし,確定診断に至れば経過観察が可能であり,背景が正常肝で腫瘍発生の危険因子に乏しい症例ではAMLも念頭に精査する必要がある.また,ウイルス性肝炎がある場合には肝生検等による病理診断が重要であると考えた.
索引用語