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肝 他1

タイトル P-148:

メトトレキセートの服用が原因と考えられた肝線維化症例の検討

演者 大須賀 達也(社会医療法人愛仁会高槻病院消化器内科)
共同演者 門田 智裕(社会医療法人愛仁会高槻病院消化器内科), 徳山 長裕(社会医療法人愛仁会高槻病院消化器内科), 山中 広大(社会医療法人愛仁会高槻病院消化器内科), 松本 尊彰(社会医療法人愛仁会高槻病院消化器内科), 小川 浩史(社会医療法人愛仁会高槻病院消化器内科), 北見 元哉(社会医療法人愛仁会高槻病院消化器内科), 石村 恵美(社会医療法人愛仁会高槻病院消化器内科), 志柿 泰弘(社会医療法人愛仁会高槻病院消化器内科), 中島 英信(社会医療法人愛仁会高槻病院消化器内科), 中田 秀史(社会医療法人愛仁会高槻病院消化器内科), 角田 力(社会医療法人愛仁会高槻病院消化器内科), 平野 誠一(社会医療法人愛仁会高槻病院消化器内科), 伊倉 義弘(社会医療法人愛仁会高槻病院病理科), 岩井 泰博(社会医療法人愛仁会高槻病院病理科)
抄録 【緒言】メトトレキセート(MTX)は葉酸拮抗薬で用量依存性,服用期間依存性に肝障害が発症する.当院におけるMTXによる肝線維化症例の臨床経過と病理組織学的所見を検討した.【症例1】69才女性,関節リウマチでMTX服用中.肝逸脱酵素高値が持続していたが,ウイルス性や自己免疫性は否定的で,非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を疑い,肝生検を行った.肝細胞は大滴性脂肪化を呈し,風船様変性,好中球浸潤を伴う中等度の炎症性傷害像が観察され,部分的に線維性架橋形成も見られた.MTX服用による肝障害と考えて矛盾のない所見であった.【症例2】78才女性.原因不明の大量腹水を認めた.MTX服用中であったため,同薬による肝障害を疑い,肝生検施行.大滴性脂肪沈着は軽微にとどまるものの肝細胞の風船様変性が顕著で,中等度の炎症性傷害を伴っており,脂肪性肝炎と診断した.アルコール性肝障害やNASH等は臨床的に否定でき,MTX服用による肝障害と考えて矛盾のない所見であった.線維化による架橋形成を認めたが,小葉構造は保たれ,鉄沈着が目立っていた.【症例3】80才女性,関節リウマチに対してMTX20年服用.腹部膨満出現,CTにて大量腹水が貯留しており,Child-Pugh score 9点,Grade Bの肝硬変と診断した.肝生検にて,門脈域間の線維性架橋形成を主体に進展した乙’型肝硬変の所見を認めた.浸潤細胞は多彩で好中球がやや目立ち,好酸球も含まれ,実質域では肝細胞の腫大・多形性や風船様変性が顕著であった.MTX服用による肝障害と考えて矛盾のない変化であった.【まとめ】MTX服用による肝障害は,自覚症状に乏しく,診断には肝生検が有用であった.定期的に肝機能検査を行い,肝障害の早期発見に努め,積極的に肝臓専門医との連携を図ることが重要である.
索引用語