セッション情報 |
ポスター
肝 他1
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タイトル |
P-150:難治性腹水における直接死因についての検討
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演者 |
松清 靖(東邦大学医療センター大森病院消化器内科) |
共同演者 |
住野 泰清(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 中野 茂(東邦大学医療センター大森病院消化器内科) |
抄録 |
背景と目的:難治性腹水は肝硬変における重要な合併症であるが,その病態については不明な点が多い.難治性腹水症例の死亡時の状況を検討することで問題点の整理を試みた.方法:当院で経験した難治性腹水症例のうち,院内で死亡を確認した39例を対象とした.検討項目は死直前のクレアチニン,ビリルビン,PT INR,感染(SBP等),出血等死亡と直接関係するイベントの有無とした.結果:死亡時に腎障害がない症例が6例,ビリルビンが5mg/dl以下である症例が21例,ビリルビンが3mg/dl以下の症例が17例,INR2.3以下の症例が25例認められた.肝機能または腎機能がある程度保たれている症例として,死亡時のビリルビンが5mg/dl以下またはクレアチニン1mg/dl以下である症例を抽出したところ,24例が該当した.この24例の難治性腹水と診断されてからの平均生存期間は187日,死亡時MELDscoreの平均は23.3(5-36)であり,有意差はないが非該当群(平均生存期間216.8日,同MELD29.8)よりも低値な傾向を示した.死亡時の状況は,特発性細菌性腹膜炎などの感染症合併例は6例,HCC破裂や静脈瘤などの出血例は4例,1型肝腎症候群合併例は6例であり,いずれも非該当が10例だった.考察:難治性腹水症例では黄疸,INR,等が生存不能なほど低下してないのに死亡する症例が認められた.なかでも感染合併,出血例を除いた15例は肝固有の機能が枯渇する前に肝外合併症によって生命の維持が不可能となっている事を示している.代表的な肝外合併症である肝腎症候群は難治性腹水において合併しやすいことが知られているが,今回の検討では肝腎症候群以外の死亡例も認められた.非該当例ではいずれも血圧低下を認めており心不全の関与が疑われるが詳細は不明である.今後は循環動態も含めた検討が必要と考えられる. |
索引用語 |
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