セッション情報 ポスター

膵 診断1

タイトル P-153:

高次医療機関としての早期慢性膵炎に対するスクリーニングEUS/ERCP検査への疑問

演者 江口 考明(大阪府済生会中津病院消化器内科)
共同演者 古賀 英彬(大阪府済生会中津病院消化器内科), 黒澤 学(大阪府済生会中津病院消化器内科), 上田 綾(大阪府済生会中津病院消化器内科), 生方 聡史(大阪府済生会中津病院消化器内科), 福知 工(大阪府済生会中津病院消化器内科), 蘆田 潔(大阪府済生会中津病院消化器内科)
抄録 【目的】慢性膵炎診断基準改定により早期慢性膵炎(早期CP)の概念が導入され,上腹部痛主訴の患者が膵酵素異常を伴った場合,CPを疑い紹介される機会がある.そのような患者全例に診断基準通りのEUS/ERCPを行うと過剰検査と感じる時があり,検査が早期CP診断/治療に寄与するか疑問である.膵酵素異常を伴う上腹部痛患者が早期CP診断目的でEUS/ERCPを行った場合,検査が診断/治療に寄与するか臨床的検討を行った.【方法】1)2009年5月~2012年5月の間に繰り返す上腹部痛を主訴に受診した患者に腹部超音波検査,上部内視鏡検査,血清/尿中膵酵素を測定.膵酵素異常を認めた患者からCP確診/準確診/器質的疾患/アルコール多飲者を除外した30例を対象とした.全例にEUS/ERCPを行い,慢性膵炎診断基準に基づいてCP診断率を検討した.2)対象患者30例にcamostat mesilate(CM)を600mg/日投与し膵酵素,痛みスケール(VAS)の推移を毎月観察した(Wilcoxon test,P<0.05を有意).【成績】1)対象患者30例(男9/女21)(平均年齢 60.2歳)で,膵酵素(P-AMY,リパーゼ,トリプシン)平均値は基準値上限を超えた.全患者にEUS/ERCPを行い早期CPは7/30例(23.3%),CP疑診例は23/30例(76.7%)だった.EUSで点状高エコー16/27所見(59.2%)と最多で,次に膵管辺縁高エコー8/27所見(29.6%)で,EUSのみで早期CPと診断したのは6/30例(20.0%)だった.ERCP所見を認めたのは3/30例(10.0%),ERCP所見のみで早期CPと診断したのは1/30例(3.3%)だった.2)30例にCMを6ヶ月間投与し検討した所,痛みの平均VAS値は4ヶ月目以降毎月有意に改善を認めた.【考察】早期CPを疑う患者にEUS/ERCPを行い診断されたのは23.3%である.症状はEUS/ERCP所見と関係なくCMで改善を認めた.以上から膵酵素上昇を認めた患者の症状改善には,早期CPを疑った時点で検査を行わずCMを投与しても治療には繋がる可能性が高く,早期CPに対するEUS/ERCPは診断には有用だが必ずしも治療方針に寄与するかは疑問視される
索引用語