セッション情報 ポスター

膵 診断1

タイトル P-154:

早期慢性膵炎に特徴的とされるEUS所見の意義―飲酒・年齢・性差についての検討―

演者 山部 茜子(福島県立医科大学会津医療センター消化器内科学講座)
共同演者 入澤 篤志(福島県立医科大学会津医療センター消化器内科学講座), 澁川 悟朗(福島県立医科大学会津医療センター消化器内科学講座), 阿部 洋子(福島県立医科大学会津医療センター消化器内科学講座), 二階堂 暁子(福島県立医科大学会津医療センター消化器内科学講座)
抄録 【目的】早期慢性膵炎(CP)では特徴的とされる超音波内視鏡(EUS)所見は,飲酒量に比例して所見数が増加することが示されている.一方このEUS所見は,特に過度の飲酒歴がなく,腹痛・膵酵素上昇等の臨床徴候もない患者にも認められることは多く,これらは加齢・性差による変化とも考えられて来た.今回,早期CP診断基準に合致する各EUS所見と飲酒量・年齢・性差との関連性について検討し,各EUS所見の意義を考察した.【方法】過去2年間で膵実質をEUS(Bモード)にて観察し,早期CPに特徴的とされるEUS所見を2項目以上呈した患者37名(男性27,女性10)を対象とし,飲酒量・年齢・性差別に各EUS所見(点状高エコー(HF),索状高エコー(HS),分葉エコー(Lob),膵管辺縁高エコー(HEDM))との相関・差を検討した.【結果】1)飲酒量とEUS所見数には相関は認められなかった.また,各EUS所見と飲酒量にも明らかな相関は認められなかった.2)年齢とEUS所見数には相関は見られず,年齢層別の各EUS所見には差はなかった.また,飲酒歴のない14名では年齢とEUS所見数に相関はみられなかった.3)性差によるEUS所見数に差は見られなかったが,女性の飲酒量は男性に比して有意に少なかった(p=0.02).4)早期CPもしくは早期CP疑いの7名に限定しての検討でも,EUS所見と各検討項目に関連は見られなかった.【結論】Bモードで高エコーを呈するCP-EUS所見と飲酒量・年齢・性差には明らかな関連性は認められなかった.これは,Bモードで観察される高エコーには線維化として有意・非有意な所見が混在してことが原因と思われた.また,今回観察されたEUS所見全てが早期CPによる変化であると仮定した場合,女性は男性に比してアルコール許容が少ないまたはアルコール以外の発症原因が多いものと考えられた.
索引用語