セッション情報 ポスター

膵 診断1

タイトル P-155:

造影EUSにより治療方針が決定した2例

演者 辻 博行(大阪医科大学第二内科)
共同演者 小倉 健(大阪医科大学第二内科), 井元 章(大阪医科大学第二内科), 増田 大介(大阪医科大学第二内科), 瀧井 道明(大阪医科大学第二内科), 梅垣 英次(大阪医科大学第二内科), 栗栖 義賢(大阪医科大学病院病理部), 樋口 和秀(大阪医科大学第二内科)
抄録 【目的】胆膵疾患の診断において超音波内視鏡検査(以下EUS)は今や必須であるといえる.近年では,更なる診断能の向上を目的に造影EUSが普及し,その有用性が多数報告されている.今回我々は,2012年4月から9月までで,造影EUSにより治療方針が決定した2症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.【方法】超音波内視鏡は,Olympus社製のUCT260,超音波観測装置はAloka社製のProsound SSD-α10を用いた.造影剤にはSonazoidを用いた.【結果】症例1:64歳,男性.数週間持続する心窩部痛を主訴に受診された.腹部USでは,膵体部に25mm大の充実性腫瘤が認められた.腹部CTでは,同部位に石灰化があり,造影では淡い造影効果が疑われた.Solid-pseudopapillary tumorなどの膵腫瘍を疑い,EUS-FNAを予定した.EUSでは,同様に膵体部に充実性腫瘤を認め,辺縁にlateral shadowを有し,内部には壊死を疑う無エコー域が認められた.また,脾動脈への浸潤による瘤形成が疑われた.しかし,造影EUSを行うと腫瘍に染影効果はなく,充実部は血栓と判断し,脾動脈瘤と診断した.血管塞栓術を施行し,再発なく経過中である.症例2:52歳,男性.閉塞性黄疸を主訴に受診.腹部CTでは,膵頭部に30mm大の腫瘤が認められた.同腫瘤は,EUSで充実性腫瘤として描出され,内部には壊死を疑う無エコー域も認められた.ERCPでは,下部胆管は壁外性の圧排狭窄を認め,主膵管も膵頭部で狭小化していた.EUS-FNAに先立ち施行した造影EUSでは同腫瘤に造影効果は全くなく,膵仮性嚢胞と診断した.EUS-guided cystic drainageを施行した.なお内容液は,淡血性・泥状で,嚢胞内容液分析では,著明な膵酵素高値を認め,異型細胞や細菌培養は陰性であった.【結論】造影EUSは,腫瘤の血流の評価に有用であり,診断困難な症例には施行すべき検査法であると考えられた.
索引用語