セッション情報 ポスター

自己免疫性膵炎

タイトル P-171:

当院における自己免疫性膵炎とIgG4関連硬化性胆管炎の新基準での診断と治療

演者 大畠 昭彦(藤枝市立総合病院消化器科)
共同演者 丸山 保彦(藤枝市立総合病院消化器科), 景岡 正信(藤枝市立総合病院消化器科), 森 雅史(藤枝市立総合病院消化器科), 志村 輝幸(藤枝市立総合病院消化器科), 宇於崎 宏城(藤枝市立総合病院消化器科), 渡辺 文利(浜松南病院消化器科)
抄録 【目的】当院で経験した自己免疫性膵炎(AIP)とIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)の診断,治療の問題点を明らかにする.【対象と方法】当院で経験したAIP16例(うちIgG4-SC合併例8例)に対しretrospectiveにIgG4関連疾患包括診断基準2011(包括基準),自己免疫性膵炎臨床診断基準2011(膵炎基準),硬化性胆管炎臨床診断基準2012(胆管炎基準)における診断と治療・経過を検討した.【検討項目】1)新診断基準での診断,2)治療と経過【結果】1)当院のAIP症例で膵炎基準によって診断されるものは16例(14例が確診,2例が準確診)であった.これらを包括基準に当てはめると疑診例13例,診断されないものは3例あった.IgG4-SCを合併した8例は胆管炎基準で7例が確診例で1例は細胞診で癌陽性であり胆管癌と診断したが,2年後膵病変の出現で診断に至った.2)治療はAIP16例中ステロイド使用例が11例,未治療が4例,膵癌疑いで手術が1例.ステロイド治療例は短期間で画像での改善が見られた.IgG4-SC例は膵病変と同時発症であった7例はいずれもステロイド治療を行っている.胆管癌と考えられた1例は未治療であったが膵病変が出現したのちステロイドを開始した.また,AIPの再燃例は自然軽快後に再び膵腫大が生じた例とステロイド維持療法中に他病変の増悪が見られた症例が1例ずつあった.【考察】AIPを包括基準に当てはめた場合,病理組織所見が得られておらず,確診には至らなかった.また,IgG4-SCはほとんどが胆管狭窄とAIPの同時発症で診断されており,胆管病変だけで診断に至った症例はなかった.最近は膵病変に対して組織を採取するものの特徴ある組織像が得られにくいことも一因と考えられた.【結語】AIPに関しては包括診断基準だけでなくAIP診断基準併用が必要である.各種診断基準において病理学的所見が盛り込まれているが,当院の現状は病理所見は診断に寄与していなかった.
索引用語