セッション情報 ポスター

自己免疫性膵炎

タイトル P-174:

潰瘍性大腸炎に合併した2型自己免疫性膵炎の2例

演者 藤田 基和(豊橋市民病院消化器内科)
共同演者 浦野 文博(豊橋市民病院消化器内科), 内藤 岳人(豊橋市民病院消化器内科), 山田 雅弘(豊橋市民病院消化器内科), 山本 英子(豊橋市民病院消化器内科), 松原 浩(豊橋市民病院消化器内科), 田中 浩敬(豊橋市民病院消化器内科), 田中 卓(豊橋市民病院消化器内科), 廣瀬 崇(豊橋市民病院消化器内科), 芳川 昌功(豊橋市民病院消化器内科), 岡村 正造(豊橋市民病院消化器内科)
抄録 【背景】本邦の自己免疫性膵炎(AIP)の多くは1型に属するIgG4関連の膵炎で高齢男性に多い.欧米から画像所見は類似するもIgG4陰性で好中球病変を特徴とするAIPが報告され,2型に分類される.2型は若年者に多く炎症性腸疾患(IBD)を伴うことが多いが,本邦報告例は少なくその全容は不明である.【症例1】22歳女性.背部痛を認め当院受診.膵・肝胆道系酵素の上昇,CT上膵腫大と被膜様構造,ERCPで膵管狭細像を認めAIPを疑い,EUS-FNAを施行したがAIPと診断不可.血清IgG4上昇なく,画像所見でAIPと診断しPSLで治療開始.症状,血液・画像所見とも改善.PSL漸減し経過良好であったが,下痢・腹痛を認め大腸内視鏡検査(CS)を行い,潰瘍性大腸炎(UC)と診断.UCはステロイド抵抗性でGCAPの導入で寛解.UCは軽度の再燃のみ,AIPはPSL5mgの維持量で再燃を認めず.【症例2】18歳男性.下痢・血便を主訴に受診.CSにて全大腸炎型UCと診断し5ASA製剤で治療中,下痢・血便の増悪とともに心窩部痛が出現.膵酵素上昇を認め,膵炎の合併を疑った.CTで膵腫大,MRCPで主膵管狭細像を認めAIPを強く疑った.EUS-FNAを施行しCD3(+)のT細胞・MPO(+)の好中球が見られ,CD20(+)のB細胞やIgG4(+)の形質細胞は見られず,2型AIPと診断しPSLで治療開始.膵酵素,症状とも改善した.【考察】2型AIPは30%にIBDを合併する.UC合併AIPの検討では74%が活動性のUCで,全大腸炎型が67%を占めるとされ,全大腸炎型で活動性UC患者ではAIPの合併に注意する必要がある.AIP患者が若年の場合,2型の可能性を念頭において膵精査を施行したり,IBDの有無を検討することが肝要である.IBD患者の中には2型AIPが含まれている可能性があり,IBD症例では常に膵疾患の合併を念頭に置くことで,本邦では稀とされる2型AIPが発見される可能性がある.現状では2型の実態は不明であり,このような症例の積み重ねが2型AIPの実態の全容解明に繋がる可能性があると考えられた.
索引用語