セッション情報 ポスター

自己免疫性膵炎

タイトル P-175:

当院でのIgG4関連消化器疾患における血清IgG4測定値の有用性とその経過について

演者 住吉 信一(浜松医療センター)
共同演者 影山 富士人(浜松医療センター), 松永 英里香(浜松医療センター), 石田 夏樹(浜松医療センター), 太田 和義(浜松医療センター), 下山 真(浜松医療センター), 松浦 愛(浜松医療センター), 森 泰希(浜松医療センター), 岩岡 泰志(浜松医療センター), 高井 哲成(浜松医療センター), 本城 裕美子(浜松医療センター), 吉井 重人(浜松医療センター), 山田 正美(浜松医療センター)
抄録 【目的】これまで当院において,2002年からの10年間,血清IgG4値を測定してきた,のべ318例(209症例)のうち消化器疾患と診断された142症例につき検討した.
【方法】血清IgG4値を測定した疾患の内訳は,自己免疫性膵炎(AIP)10例,硬化性胆管炎3例,後腹膜線維症4例,膵臓癌23例,胆管癌13例,急性膵炎39例,高アミラーゼ血症17例,その他33例であった.IgG4関連疾患や癌の診断を得るまで,鑑別に苦慮した症例も数多く含まれており,各種画像検査,血清IgG4値,ステロイド治療の有用性と合わせて比較検討した.
【結果】血清IgG4値が有意に高かった症例群として,AIP,後腹膜線維症で高値(p<0.01)であり,膵癌,胆管癌と診断された群については,血清IgG4値は正常であった.また,急性膵炎などにおける高度炎症群でも有意に上昇することはなかった.AIPは可能な限り組織診断を行っているが確定診断がついているものは6例であり,病理診断での評価は手技的な問題もあり,他の画像や血清IgG4値など重複した検査内容を要する.最近では侵襲の少ないPET-CTの有用性も報告されている.今回の膵癌症例とAIPではSUVmaxにおいて有意差(p<0.05)が得られており,AIPの診断には有用な所見である.AIP,硬化性胆管炎,後腹膜線維症の診断において,血清IgG4値は,画像所見と合わせた診断さらには治療効果判定として有用であった.このことは,膵臓癌との鑑別にも有用であることが示唆される.また,ステロイド反応性もIgG4関連消化器疾患では良好である.投与全例に有効であり,外来で血清IgG4値,画像所見を指標として経過観察している.
【結論】IgG4関連疾患の鑑別には,他科との連携の上で総合的な判断が必要である.消化器疾患については血清IgG4値が有用であり,誤診のないようPET-CTやEUS-FNAを組み合わせた診断が必要と思われた.
索引用語