セッション情報 ポスター

肝癌1

タイトル P-176:

非B非C肝癌における生活習慣との関連性

演者 田中 佳祐(山梨大学医学部内科学第一講座)
共同演者 進藤 邦明(山梨大学医学部内科学第一講座), 榎本 信幸(山梨大学医学部内科学第一講座)
抄録 【はじめに】近年NBNC HCC(HBs抗原陰性かつHCV抗体陰性肝細胞癌)が増加しているが発癌危険群の囲い込みが不十分で進行して発見される症例が多い.NBNC HCCの背景を肥満,糖尿病,飲酒歴などの生活習慣歴に加えFibroscanによる肝硬度測定,さらにControlled Attenuation Parameter(CAP)による肝脂肪沈着量測定を用いて検討した.【対象と方法】対象は2010年1月から当科に入院したNBNC HCC 50例をHCC群,同時期に当科を受診したHCCのないNBNC患者100例をコントロール群とした.両群における患者背景,血液検査,肝硬度を統計学的に比較検討した.さらに2012年7月導入以降CAPにて脂肪沈着量測定が可能であった症例はCAP>260dB/mを中等度以上の脂肪肝とし検討に加えた.【結果】患者背景ではHCC群はコントロール群と比して有意に高齢(70±6.8 vs 59.0±8.8才)であった.生活習慣歴ではHCC群の方が有意に肥満(BMI>26:22 vs 12%),飲酒(1合/日以上:58.2 vs 18.0%)の割合が高かった(ともにP<0.05).喫煙率は両群に差は認めなかった.血液検査ではHCC群にて有意にHbA1c高値(6.5以上:35.0 vs 18.6%)(P<0.05)で糖尿病を既往とする患者が多かった.またHCC群にて血小板値が有意に低値(10.3±5.4 vs 17.8±15.4),HBc抗体陽性率が高率(38.2 vs 17.4%)であった(P<0.01,P<0.05).Fibroscanによる検討では肝硬度の中央値はHCC群18.8kPa(3.3-67.8),コントロール群6.3kPa(3.3-75.0)で有意にHCC群の方が高く(P<0.01),Cut off値を12.0kPaに設定するとHCCに対する感度は81.8%であった.CAP測定における脂肪沈着量測定では260dB/m以上の割合はHCC群5.0%,コントロール群18.0%でありコントロール群の方が中等度以上の脂肪肝の割合が多かった.【結論】NBNC肝疾患の発癌には肥満,糖尿病,飲酒などの生活習慣病が大きく関連している.生活習慣病患者においてFibroscanを用いた肝硬度測定を行うことにより効率的に発癌高危険群が囲い込める可能性が高い.また肝脂肪沈着量は線維化とともに減少している可能性があり,より長期に前向き検討をしていく必要がある.
索引用語