セッション情報 ポスター

肝癌2

タイトル P-181:

当院における肝細胞癌の臨床的特徴についての検討

演者 田畑 優貴(大阪府立急性期総合医療センター消化器内科)
共同演者 葛下 典由(大阪府立急性期総合医療センター消化器内科), 阿部 友太朗(大阪府立急性期総合医療センター消化器内科), 井上 貴功(大阪府立急性期総合医療センター消化器内科), 大西 幸作(大阪府立急性期総合医療センター消化器内科), 岩谷 修子(大阪府立急性期総合医療センター消化器内科), 野崎 泰俊(大阪府立急性期総合医療センター消化器内科), 井上 浩一(大阪府立急性期総合医療センター消化器内科), 澁川 成弘(大阪府立急性期総合医療センター消化器内科), 石井 修二(大阪府立急性期総合医療センター消化器内科), 西山 範(大阪府立急性期総合医療センター消化器内科), 春名 能通(大阪府立急性期総合医療センター消化器内科), 井上 敦雄(大阪府立急性期総合医療センター消化器内科)
抄録 【目的】近年,HBVやHCVによる慢性肝疾患を背景にもたない非B非C型肝細胞癌が増加していることが報告されている.今回我々は当院における肝細胞癌(HCC)の背景肝,背景因子,臨床的特徴などについて検討を行ったので報告する.【方法】2007年1月1日から2012年3月31日までに当院に受診し,当院で初回肝癌治療を行った肝細胞癌(HCC):291例をHBs抗原陽性のHBV群(n=25)とHCV抗体陽性のHCV群(n=193)および両者陰性のNBNC群(n=73)に分け,HBV群,HCV群,NBNC群に関してその背景肝,背景因子及び臨床的特徴について比較した.【結果】対象患者291例の平均年齢は71.4歳,男性207例,女性84例であった.2007年1月1日から2009年12月31日までの前半期(176例)と,2010年1月1日から2012年3月31日までの後半期(115例)に分けて最近の特徴について成因の推移を検討すると,HBV群では10.8%から5.2%,HCV群では67.6%から64.3%と共に割合が減少しているのに対して,NBNC群では21.6%から30.4%まで割合が増加していた.糖尿病の合併率を比較するとHBV群では24.0%,HCV群では30.7%であったのに対して,NBNC群では46.6%と高率であった.BMI(kg/m2)の平均値はHBV群で22.8,HCV群で21.8,NBNC群で23.9であった.最大腫瘍径の平均(mm)はHBV群で32.7,HCV群で30.4,NBNC群で57.9とNBNC群で有意にサイズの増大を認めた.【結論】ウイルス性肝炎の治療向上,新規患者の減少により,ウイルス性肝炎を背景肝とするHCCは相対的に減少していると考えられる.一方,糖尿病,肥満などの生活習慣病合併者におけるNBNC肝細胞癌患者が増加していることが示唆された.ウイルス性肝炎による因子以外に,糖尿病,肥満などの危険因子を有する患者においては,肝発癌を念頭に入れ慎重にフォローし,肝癌の早期発見,早期治療に努めることが肝要であると考えられた.
索引用語