セッション情報 ポスター

肝癌2

タイトル P-184:

肝細胞癌の自然退縮の2例

演者 岩岡 泰志(浜松医療センター消化器科)
共同演者 影山 富士人(浜松医療センター消化器科), 山崎 哲(浜松医療センター消化器科), 松永 英理香(浜松医療センター消化器科), 石田 夏樹(浜松医療センター消化器科), 太田 和義(浜松医療センター消化器科), 下山 真(浜松医療センター消化器科), 森 泰希(浜松医療センター消化器科), 住吉 信一(浜松医療センター消化器科), 高井 哲成(浜松医療センター消化器科), 本城 裕美子(浜松医療センター消化器科), 吉井 重人(浜松医療センター消化器科), 山田 正美(浜松医療センター消化器科)
抄録 【はじめに】癌の自然退縮は非常に稀な病態で,その原因の多くは解明されていない.今回我々は自然退縮した肝細胞癌2症例を経験したので報告する.【症例1】59歳男性.平成10年5月より右季肋部痛が出現し,近医にて肝腫大・肝機能障害を指摘され精査目的にて入院となった.腹部CTにて肝右葉から左葉内側区の大部分を占める不整形の腫瘍を認め,門脈本幹から左右分枝が造影されず門脈浸潤と判断された.加えて両肺に多発する転移と思われる結節性病変を認めた.腫瘍マーカーも高値であり肝硬変(非B非C)を背景としたdiffuse typeの肝細胞癌(Vp4),stageIVBと診断した.積極的治療を望まれず保存的に経過観察となったが,3ヶ月後のfollow upのCTでは肝腫瘍は縮小し肺病変も消失,さらに平成11年2月のCTでは肝腫瘍は消失した.腫瘍マーカーは入院時AFP238,800ng/ml,PIVKAII25,900mAU/mlであったが,次第に低下し平成10年12月にはいずれも正常化した.現在まで外来にて定期的に画像診断を行っているが,自然退縮後14年経過し無再発のままである.【症例2】80歳男性.平成21年12月近医にてC型慢性肝炎の経過観察中に肝腫瘍を指摘され当科を受診した.CTおよびMRIにて肝尾状葉に11.5cm大の腫瘍を認め,腫瘍マーカーはPIVKAIIが868mAU/mlと上昇し肝細胞癌と診断したが,積極的治療を望まれず経過観察となった.平成24年8月魚骨による消化管穿孔を契機に当院を再受診した.CT再検にて肝内の腫瘤は消失し,PIVKAII値も正常化した.現在まで腫瘍の再発は認めていない.【考察】癌の自然退縮の発生頻度は60,000~100,000分の1程度とされている.しかしそのメカニズムは不明であり,肝細胞癌については腫瘍の増大に伴う血流障害・虚血や免疫能の関与などが考えられているため,文献的考察を加え報告する.
索引用語