セッション情報 ポスター

肝癌2

タイトル P-185:

高齢者肝細胞癌への肝動脈塞栓術の効果と治療阻害要因の検討

演者 松本 直樹(日本大学医学部消化器肝臓内科)
共同演者 松岡 俊一(日本大学医学部消化器肝臓内科), 森山 光彦(日本大学医学部消化器肝臓内科)
抄録 【目的】HCV感染者の高齢化に伴い,肝細胞癌症例も高齢化している.3cm,3個以上の症例の他,全身麻酔導入不可,息止め困難など高齢者特有の理由で局所療法が不適応となって肝動脈化学塞栓療法(TACE)や肝動注療法(TAI)が選択される症例も多い.高齢者では動脈硬化によりカテーテル挿入が困難になることもある他,貧血,腎機能障害などにより治療に制限が加わることが少なくない.今回,TACE,TAIを行った75歳以上の症例について治療効果,予後を検討したので報告する.【方法】対象は2009年1月~2012年6月に当施設でTACEまたはリピオドールTAIを施行した75歳以上の36例(87回)で,75歳未満の43例(85回)と比較した.効果判定は治療1~6か月後の造影CTで行った.挿入は左上腕または右大腿から行った.【成績】性別(男/女)は高齢者23/13vs非高齢者35/8,背景肝(肝硬変/慢性肝炎+正常肝)は同26/10vs35/8.Stage(1/2/3/4a/4b)は同10/35/39/1/1vs同6/28/38/4/6.使用薬剤(miriplatin/Epi-ADM/2剤以上併用/その他)は同43/12/25/7vs47/12/27/9.腹腔動脈への挿入困難は同5例(13.9%)vs同1例(2.3%)(P=0.1307),CCr 60ml/min未満は同10例(33.3%)vs同4例(12.9%)(P=0.1102),TACEの治療効果(CR/PR/SD/PD)は同17/7/18/11vs同8/8/17/14で奏効率は43.6%vs34.0%と,いずれも有意差無しであった.観察期間における初回TACEまたはリピオドールTAIからの全生存期間は同13.0か月vs13.5か月で有意差無しだった(Logrank;P=0.6710).【結論】一部カテーテル挿入困難例や腎機能障害例を含む高齢者におけるTACEでも,造影剤の減量やカテーテルの交換など,手技の工夫により非高齢者と同等の治療効果,予後が得られた.
索引用語