セッション情報 ポスター

大腸内視鏡治療1

タイトル P-187:

大腸ESDを困難にさせる因子の検討

演者 佐々木 文郷(鹿児島大学消化器疾患生活習慣病学)
共同演者 船川 慶太(鹿児島大学消化器疾患生活習慣病学), 那須 雄一郎(鹿児島大学消化器疾患生活習慣病学), 上村 修司(鹿児島大学消化器疾患生活習慣病学), 藤田 浩(鹿児島大学消化器疾患生活習慣病学), 沼田 政嗣(鹿児島大学消化器疾患生活習慣病学), 井戸 章雄(鹿児島大学消化器疾患生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学消化器疾患生活習慣病学)
抄録 【背景と目的】大腸ESDは,食道胃に比して難度の高い手技であり技術的な精度管理が必要である.今回,我々は大腸ESD困難例の術前予測因子を明らかにするために,当科における大腸ESD施行例をretrospectiveに検討した.【対象と方法】2009年1月から2012年7月までに当科で大腸ESDを施行した94症例・96病変からカルチノイドを除く85症例・87病変を対象とし,腫瘍因子(局在,肉眼型,腫瘍径,組織型,粘膜下層の線維化の有無)と治療時間,合併症との関連性を検討した.【結果】平均年齢69.7±9.6歳.平均治療時間は129±82分,平均腫瘍長径は30.6±17.1mmであった.内視鏡的一括切除率は97%,完全治癒切除率は92%であった.腫瘍の局在は,盲腸14例,上行結腸16例,横行結腸18例,下行結腸5例,S状結腸14例,直腸20例で,局在部位と治療時間に有意な関連性はなかった.肉眼型は,隆起型(Ip,Isp,Is)6例,表面型70例で,そのうちLSTはLST-G-H 14例,LST-G-M36例,LST-NG-F10例,LST-NG-PD20例であった.隆起型群,LSTの各群の検討では,隆起型群で有意に治療時間が長かった(p=0.001~0.04).腫瘍径は,50mm未満75例,50mm以上12例であり,50mm以上で有意に治療時間が長かった(p<0.001).組織型は,腺腫47例,腺腫内癌22例,腺癌16例であり,組織型と治療時間に有意な関連性はなかった.粘膜下層の線維化は25/87例に認め,線維化のある症例は,有意に隆起型病変に多く(p=0.002),治療時間も長かった(p=0.033).合併症の検討では,3例に穿孔,後出血は1例であった.穿孔のみられた3例中2例に粘膜下層の線維化を認めた.【結語】大腸ESDを困難にさせる因子として,(1)隆起型病変,(2)腫瘍径50mm以上,(3)粘膜下層の線維化が挙げられた.特に隆起型病変は,病変の深達度に関わらず,高度な線維化を伴うことが多く,大腸ESD困難例として術前に十分検討することが必要である.
索引用語