セッション情報 ポスター

大腸内視鏡治療1

タイトル P-188:

大腸腫瘍に対するESDにおける長時間に関わる因子の検討

演者 豊川 達也(福山医療センター消化器内科)
共同演者 藤田 勲生(福山医療センター消化器内科), 渡辺 一雄(福山医療センター消化器内科), 森川 民也(もりかわ内科クリニック), 友田 純(福山医療センター消化器内科)
抄録 【目的】ESDの普及には目を見張るものがあり,それは大腸腫瘍性病変においても同様である.しかし,未だ長時間を要する手技であり,偶発症など問題点も山積されているのが現状である.今回我々は大腸ESDの治療時間に着目し,その長時間にかかわる危険因子,さらには長時間を要した症例の治療成績等について検討したので報告する.【方法】対象は,2003年7月から2012年8月までに当院でESDを施行した大腸腫瘍性病変114病変(113症例)である.これらについて全体の治療時間中央値が110分であったことから,長時間群(治療時間110分以上)と短時間群(同110分未満)に層別化し,長時間に関わる危険因子をロジスティック回帰分析にて検討した.なお,検討した因子は性差,年齢,併存疾患,病変の大きさ,内視鏡的形態,部位,潰瘍瘢痕の合併,病理組織(深達度を含む)等である.また,長時間群と短時間群の治療成績についてχ2乗検定,Mann Whitney U検定にて比較した.【結果】長時間群は58病変,短時間群は56病変に層別化された.単変量による長時間に関わる危険因子は,病変が大きいこと,穿孔を偶発したこと,術者が抽出された.これらについて多変量解析したところ,病変が大きいこと(Odds ratio:1.10,95% confidence interval:1.05-1.16)が長時間に関わる独立した危険因子であった.また,長時間群は短時間群に比して,一括切除率(71% vs. 93%)に有意に低値であったが,治癒切除率(69% vs. 77%)は有意差を認めなかった.【結論】本研究にて,大腸ESDにおいて手技に長時間を要する危険因子は病変が大きいことであった.また,長時間を要することは治療成績にも影響を及ぼしていることが判明した.ただし,長時間を要しても一括切除さえ可能であれば,その成績は良好である可能性が示唆された.これらの結果を踏まえ,今後さらなる手技の工夫,デバイスの開発等により治療時間の短縮化が必要であると思われた.
索引用語