セッション情報 ポスター

大腸内視鏡治療1

タイトル P-189:

当センターで施行後,経過観察しえた大腸ESD瘢痕病変の検討

演者 坂本 輝彦(東京女子医科大学東医療センター検査科)
共同演者 大塚 洋子(東京女子医科大学東医療センター検査科), 山田 理恵子(東京女子医科大学東医療センター検査科), 加藤 博之(東京女子医科大学東医療センター検査科)
抄録 【目的】2012年4月より大腸ESDが保険収載され,多くの施設で施行されるようになっているが,その瘢痕についての検討報告はまだ少ない.今回,この5年間に当センターで施行された大腸ESD後の経過観察例をEMR例と比較し検討したので報告する.【方法】2006年12月から2011年9月まで当センターにて大腸ESDを施行し,その後大腸内視鏡(CS)観察が行われた54症例57病変,および,ほぼ同時期にEMRを施行し,その後のCS観察が行われた81例103病変を対象とした.CS観察時の瘢痕の状態,生検の有無,遺残再発の有無,遺残再発を疑った場合の対処を検討した.【成績】1)対象病変の瘢痕は,全例で色素散布を,加えて可能な限りNBI観察,拡大観察を併用し詳細に観察した.必要な場合は生検を行い,生検例はESD後23病変,EMR後23病変であった.2)生検例のCS所見は,ESD/EMR病変で白色瘢痕16/16病変,発赤隆起6/7病変,発赤陥凹1/0病変であった.病理組織検査結果は,ESD/EMR病変で癌1/0病変,腺腫0/2病変,慢性炎症8/12病変,過形成性変化6/2病変,肉芽3/0病変,潰瘍瘢痕5/5病変,毛細血管拡張0/2病変であった.3)癌1例は,絨毛管状腺癌であった横行結腸LSTのESD治療部の病変で,施行3か月後のCSで発見された.4mm大のIIIs pit病変と考え,ポリペクトミーを行った.本例は,並存する早期大腸癌の外科的切除時の切除標本でESD部に腫瘍のないことを確認した.EMR後病変の腺腫2例は生検で消失し,いずれもCS観察で24か月以上同部位に腫瘍を認めていない.4)生検を行わなかった病変は,いずれも腫瘍性pitを認めない白色瘢痕として観察された.5)ESD病変の最大径は83mmで,自験例での瘢痕狭窄例はなかった.【結論】1)ESD後の瘢痕は,EMR後の瘢痕とほぼ同所見で,白色瘢痕として観察されることが多かった.2)瘢痕部に腫瘍を認めた3病変はいずれも一括切除された病変で,内視鏡処置のみで対処できた.3)ESD後のCS初回経過観察は,癌6か月,腺腫1年程度で必要と思われた.
索引用語