セッション情報 ポスター

大腸 腫瘍

タイトル P-208:

Implantationによる吻合部再発症例から見た結腸癌術後内視鏡検査の至適施行時期の検討

演者 小南 裕明(六甲アイランド甲南病院外科)
共同演者 田中 賢一(兵庫県立がんセンター消化器外科), 押切 太郎(兵庫県立がんセンター消化器外科), 中山 俊二(兵庫県立がんセンター消化器外科), 藤野 泰宏(兵庫県立がんセンター消化器外科), 富永 正寛(兵庫県立がんセンター消化器外科)
抄録 結腸癌術後の吻合部再発は腸管内腔に存在する遊離癌細胞の腸壁への打ち込みやlaw surface部への生着が原因と言われており,発生率は手縫い吻合で0.8~1.5%,器械吻合では5~6%とする報告が多い.吻合部再発と診断するには腫瘍が前回吻合部の直上を中心として口側,肛門側粘膜双方にまたがるように存在していることと,2回の摘出標本の組織像が類似していることが必要である.2008年10月から2012年3月までの3年6カ月の間に結腸癌術後の吻合部再発を3例経験した.症例1は67歳女性で,MPN0M0Stage IIのS状結腸癌術後9カ月目に下血の精査目的で施行した下部消化管内視鏡検査で吻合部再発が確認できた.症例2は71歳女性で,SSN0M0M0 Stage IIの回盲部癌に対して結腸右半切除を施行後1年7カ月目に血便が出現し,内視鏡検査で吻合部再発が指摘された.症例3は61歳女性で,特に自覚症状はなかったがSEN2M0 Stage IIIBの上行結腸癌に対して結腸右半切除後1年目の下部消化管内視鏡検査で吻合部再発が確認できた.いずれの症例でも初回手術時は機能的端端吻合が行われており,術中に腸管内腔の洗浄や拭き取り操作は行っていなかった.組織型,脈管侵襲(ly,v)に特徴はなく,再手術時においては吻合部を中心とした腸管部分切除と再吻合を要した.結腸癌の器械吻合後のinplantationによる吻合部再発の報告は本邦ではこれまでに70例で,半数が初回手術後1年未満で再発が確認されており,81%の症例で腫瘍の深達度がss以深で,再発確認時に無症状だった例が50%を占めていた.過去の報告に自検例を加えて検討し,さらに現時点で結腸癌の吻合部再発を完全に予防することが技術的に困難であることを考慮した結果,出来れば初回手術後6か月程度を目安に早期の内視鏡検査を施行して吻合部再発の早期発見に努めることが望ましいのではないかと考えられた.
索引用語