セッション情報 ポスター

肝癌3

タイトル P-214:

当院におけるラジオ波焼灼術の成績と工夫

演者 井上 貴功(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科)
共同演者 葛下 典由(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 阿部 友太朗(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 大西 幸作(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 岩谷 修子(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 田畑 優貴(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 野崎 泰俊(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 井上 浩一(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 澁川 成弘(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 石井 修二(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 西山 範(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 春名 能通(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 井上 敦雄(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科)
抄録 【目的】肝細胞癌に対するラジオ波焼灼術(RFA)は,低浸襲で繰り返し施行可能であり,肝癌標準治療の1つとして広く普及している.一方で,偶発症は約8%で生じるとの報告があり,低リスクとは言えない.今回,我々は当院におけるRFAの成績と偶発症を起こさない工夫について報告する.【方法】2011年9月から2012年9月までに経皮的治療(RFAあるいはエタノール注入:PEIT)を行なった91症例を対象とした.全例,前日にプランニングエコーを施行し,穿刺針Cool-tip 1cm,2cm,3cmを腫瘍の大きさにより使い分けた.また局所再発例,転移性肝癌には,ソナゾイド造影エコーを施行し,再発部位を明確にしてからRFAを行なった.RFAは,経験年数5年以上,経験症例数200例以上の熟練医師が,ほぼ全例行なった.【結果】患者の平均年齢は76歳(60~92),男性49例,女性42例,原発性肝細胞癌88例,転移性肝癌3例であった.初発肝癌の平均腫瘍径は2.0cmであり,局所再発平均腫瘍径は1.8cmであった.全経皮的治療のうちRFA施行例は57症例(63%)であった.RFAの偶発症と考えられたのは肝辺縁と大腸の間に炎症性変化を認めた1例のみであった(1.8%).1例は腫瘍が肝中心部にあり大血管に接していたため,開腹下でRFAを行なった.ソナゾイド造影エコーは26例(29%)で行なった.また腫瘍が1.5cm以下の肝辺縁,胆嚢近傍,あるいは大血管近くの腫瘍46例に対しては1cm針を用いてRFAあるいはPEITを施行した.PEITの合併症は肝梗塞(入院延期はなし)1例(2.9%)でRFA,PEIT共に過去の報告に比べ偶発症は低頻度であった.【結論】EOB-MRIなどの普及で1.5cm以下の微小局所再発が早期に診断可能となり,マージンをとることが困難な部位の微小肝癌(1.5cm以下)の治療の選択肢としてPEIT以外に1cm Cool-tip針も有用であると思われた.今後,これら症例における局所再発の頻度も検討する必要がある.
索引用語