セッション情報 ポスター

大腸 診断1

タイトル P-223:

緊急検査としての水溶性造影剤を用いた注腸検査の有用性の検討

演者 小林 真(市立四日市病院消化器内科)
共同演者 二宮 純(市立四日市病院消化器内科), 熊谷 成将(市立四日市病院消化器内科), 前川 直志(市立四日市病院消化器内科), 山脇 真(市立四日市病院消化器内科), 桑原 好造(市立四日市病院消化器内科), 水谷 哲也(市立四日市病院消化器内科), 杉浦 寧(杉浦医院), 矢野 元義(市立四日市病院消化器内科)
抄録 【目的】大腸閉塞の疑いや出血等に対して,しばしば水溶性造影剤(アミドトリゾ酸ナトリウムメグルミン:以下ガストログラフィン)を用いた注腸検査が行われる.今回緊急検査として当院で施行したガストログラフィンを用いた注腸検査の検討を行った.【方法】2008年1月より当院を受診され症状やCT等の画像診断により大腸閉塞が疑われた40例と,下血により憩室出血が疑われた5例の計45例に対しガストログラフィンによる注腸を行った.内服の下剤は用いず,必要に応じてグリセリン浣腸を使用した.ガストログラフィンは微温湯により3倍~4倍程度に希釈し,自動注入器を用いて注入した.基本的に鎮痙剤を投与し,空気先行の予防と腸管洗浄のため造影剤を通常の注腸検査より多めに使用した.閉塞を認めず精査が必要な症例は後日通常前処置にて注腸検査や大腸内視鏡を行った.【結果】大腸閉塞が疑われた40例中14例で大腸癌による通過障害と診断され,13例で引き続き大腸内視鏡を施行した.視野は良好で全例で病変まで到達可能であり,完全狭窄の3例では経肛門的にイレウスチューブを留置した.他臓器癌の播種や浸潤による狭窄が5例,憩室による大腸の変形狭窄が3例,鼠径ヘルニアからのS状結腸脱出が1例であった.狭窄は認めず腸管運動低下や便塊によると考えられたものが17例あり,検査終了後に便塊の排出を得たりして症状は軽快した.出血5例に対しては大腸憩室出血の可能性が高いと診断し,全例大腸内視鏡を施行して止血処置を行った.ガストログラフィンは流動性が高く造影剤の進みは良好であり,透明で腸管運動を亢進させるため洗腸効果も高い.しかし狭窄がなくほとんど蠕動が見られない症例もあり,腸管運動の評価としても使用できる可能性も考えられた.【結論】大腸閉塞や下血時の緊急検査としてのガストログラフィン注腸は,安全性が高く腸管の評価のみならず治療や緊急内視鏡の前処置としても有用であった.
索引用語