セッション情報 ポスター

大腸 診断2

タイトル P-228:

顆粒球・単球吸着がtumor necrosis factor α放出に与える影響について

演者 西瀬 祥一(山形大学内科学第二講座)
共同演者 阿部 靖彦(山形大学内科学第二講座), 佐藤 剛司(山形大学内科学第二講座), 佐々木 悠(山形大学内科学第二講座), 名木野 匡(山形大学内科学第二講座), 吉澤 和哉(山形大学内科学第二講座), 岩野 大輔(山形大学内科学第二講座), 矢尾板 孝夫(山形大学内科学第二講座), 上野 義之(山形大学内科学第二講座)
抄録 【目的】tumor necrosis factor(TNF)-αは主に顆粒球・単球(GM)から産生される炎症性サイトカインである.炎症性腸疾患(IBD)では腸管粘膜のTNF-αが増加しており,炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカインの不均衡を生じることがその病態に重要な役割を果たしている.IBDの治療法の一つであるGM吸着除去療法(GMA)では,GM吸着によりinterleukin 1 receptor antagonistなどの抗炎症性サイトカインの放出が惹起されることを我々は報告している.しかしTNF-αに関しては,GMA治療後にGMのTNF-α産生能が低下するとの報告が散見されるものの,GM吸着が直接TNF-α放出に影響を与えるか否かについては明らかではない.そこで今回は,GM吸着とTNF-α放出との関連を明らかにすることを目的とした.【方法】健常成人から採取した末梢血をin vitroでGMAの吸着担体である酢酸セルロース(CA)ビーズと1時間接触させた.接触後に測定した血漿TNF-α濃度を,CAビーズ接触前の値,さらにはLipopolysaccharide(LPS)で刺激した末梢血での値と比較した.加えて,CAビーズ接触後のTNF-α濃度とGM吸着率との相関関係を調べた.【結果】TNF-α濃度(pg/mL)は,CAビーズ接触前に比べ接触後で有意に上昇した(10.6±0.8 vs 124.7±47.9,p<0.02)が,LPS刺激後(617.7±86.9)と比べれば有意に低値だった(p<0.01).また,CAビーズ接触後のTNF-α濃度はGM吸着率と有意な正の相関を示した(r=0.782,p<0.001).【結論】TNF-αは,抗炎症性サイトカインと同様に,GM吸着刺激によって放出が惹起されることが明らかとなった.TNF-αが放出されるにも関わらずGMAが治療効果を発現する理由の一つとして,GM吸着刺激でのTNF-α放出量はLPS刺激による放出量と比較しても少なく,またGMA中にはTNFレセプター(R)が増加することが報告されていることから,放出されたTNF-αは増加したTNFRで十分中和されて炎症性作用を発現しない可能性が推測された.
索引用語