セッション情報 ポスター

大腸 診断2

タイトル P-229:

クローン病患者における食物に対する血清抗体価の検討

演者 須賀 泰世(横浜市立大学IBDセンター)
共同演者 木下 裕人(横浜市立大学IBDセンター), 佐々木 智彦(横浜市立大学IBDセンター), 井上 英美(横浜市立大学IBDセンター), 松林 真央(横浜市立大学IBDセンター), 木村 英明(横浜市立大学IBDセンター), 国崎 玲子(横浜市立大学IBDセンター), 前田 愼(横浜市立大学消化器内科学)
抄録 【目的】クローン病の病態に食餌の関与が考えられているが,その機序は十分に解明されていない.JDDW2009で社会保険中央総合病院より,クローン病患者(CD)では野菜,穀類を中心に多種の食物に対し血清抗体価(IgG)陽性であることが報告された.今回,当院の患者についてIgGを検査し,再現性,患者背景との関連,変動を検討した.【方法】試験1:2011年に同意を得たCD12例,潰瘍性大腸炎患者(UC)10例,健康人(HC)10例の血清について,食物96品目に対するIgGをUS BioTekに検査依頼し,通常報告される0から6までの7段階スコアデータのほか,生データ(Value;V値)を得た.V値とスコアの解析により,陽性,陰性を判別可能なスコア基準を選定した.試験2:2012年に同意を得たCD20例,UC18例のIgG陽性品目数を比較し,患者年齢,罹患期間,CRP値との関連を解析した.また,試験1,2ともに検査したCD5例,UC4例のIgG陽性品目数変動を解析した.【成績】CD,UC,HCの年齢,性別,罹患期間に有意な差はなかった.試験1:食物96品目のうち乳製品,卵,肉類,魚介類に関しては,HCのV値が有意に高い品目が多く,本解析から除外することとし,対象食物は72品目となった.また,陽性基準はスコア2以上と選定された.試験2:IgG陽性品目数はCD平均22(95%CI 13-32),UC平均5(95%CI 2-7)でCDが有意に多く,CDは主に野菜,穀類に対する陽性率が高かった.また,CDのCRP高値群で陽性品目数が有意に多かった.また,約1年の経過で陽性品目数はCD 2例で増加がみられ,UC1例で減少がみられた.【結論】当院においてもCDは多くの食物にIgG陽性で,既報告結果をほぼ再現した.また,CDでは炎症状態とIgG陽性品目数が関連する可能性が示唆された.さらに,IgG陽性品目数の変動は個人差がみられ,その後の病勢や治療薬剤との関連を今後検討し,食事により病勢をコントロールできる可能性を探りたいと考える.
索引用語