セッション情報 ポスター

大腸 診断2

タイトル P-231:

潰瘍性大腸炎に対する深部静脈血栓症スクリーニングおけるD-dimer測定の意義

演者 藤川 裕之(三重大学消化管・小児外科)
共同演者 荒木 俊光(三重大学消化管・小児外科), 大北 喜基(三重大学消化管・小児外科), 橋本 清(三重大学消化管・小児外科), 川村 幹雄(桑名西医療センター外科), 小池 勇樹(三重大学消化管・小児外科), 井上 幹大(三重大学消化管・小児外科), 大井 正貴(三重大学先端的外科技術開発学), 田中 光司(三重大学消化管・小児外科), 井上 靖浩(三重大学消化管・小児外科), 内田 恵一(三重大学消化管・小児外科), 毛利 靖彦(三重大学消化管・小児外科), 楠 正人(三重大学消化管・小児外科)
抄録 【背景】潰瘍性大腸炎は深部静脈血栓症(DVT)合併のリスクが高いとされている.また,下肢DVTの診断には下肢静脈超音波検査が有用である一方,DVTの除外診断においてはマーカーとしてD-dimer測定が有用とされる.【目的】当科で施行された潰瘍性大腸炎手術症例における術前DVTの発生状況,臨床的病理学的因子との関連から,術前DVTスクリーニングの妥当性を評価することとした.【方法】2007年~2011年までに当科で手術が施行された潰瘍性大腸炎80症例を対象とした.全例で術前DVTスクリーニングとして下肢静脈超音波検査,およびD-dimer測定が施行された.下肢静脈超音波検査で下肢DVTの有無を評価し,D-dimerを含めた臨床的因子との関連を検討した.【結果】術前下肢DVTは9例(11.3%)で検出された.うちD-dimer陽性(≧1.0μg/ml)は5例,陰性は4例であった.D-dimer測定の感度は55.6%であり,特異度は67.6%であった.D-dimer陰性群のうち3例は器質化したDVTであった.ステロイド総投与量はDVTの有無と関連を認めなかったが,DVT合併群は非合併群に比べCRP値が有意に高値であった(p=0.03).【結論】潰瘍性大腸炎症例ではDVTスクリーニングに対するD-dimer測定の信頼度は不十分である可能性が示唆された.すなわち,静脈血栓塞栓症リスク評価において,D-dimer測定のみでは過小評価される可能性があり,画像検査などとの併用による厳重なスクリーニングが必要であると考えられた.
索引用語