セッション情報 ポスター

大腸 その他1

タイトル P-234:

当院における腸管子宮内膜症の検討

演者 新井 修(倉敷成人病センター肝臓病治療センター)
共同演者 松本 剛昌(倉敷成人病センター外科), 奥山 俊彦(倉敷成人病センター内科), 柴田 憲邦(倉敷成人病センター肝臓病治療センター), 久保木 眞(倉敷成人病センター肝臓病治療センター), 池田 弘(倉敷成人病センター肝臓病治療センター), 大元 謙治(倉敷成人病センター肝臓病治療センター)
抄録 【目的】腸管子宮内膜症の臨床像・画像所見・病理所見の特徴を検討する【対象】手術標本で腸管子宮内膜症と確定診断した17例【検討項目】1)患者背景,2)画像所見(注腸X線,下部消化管内視鏡(CS),MRI),3)病理所見【結果】1)年齢は29-55歳(平均38.1歳),婦人科的症状は月経困難症7例,不正性器出血1例,消化器症状は排便異常8例(下痢4例,便秘3例,下痢便秘交代1例),排便時複痛4例,月経時血便3例,イレウス1例,無症状3例であった(重複あり).不妊7例,CA125 8-288(平均75.1),性器内子宮内膜症の手術歴は7例あり,術前保存的治療は低容量ピル4例,鎮痛剤3例(NSAIDs,ペンタゾシン,モルヒネ各1例),プロゲステロン製剤2例,GnRHアゴニスト1例であった.2)部位は直腸限局11例,直腸~S状結腸3例,下行結腸+S状結腸,回腸+直腸各1例であった.16例が前壁偏在性で,1例は全周性であった.注腸検査所見(N=17)は鋸歯状変化13例,横走ひだ13例,顆粒状変化3例であった.CS所見(N=6)は粘膜下腫瘍(SMT)様隆起6例,SMT周囲の横走ひだ3例,SMT内発赤隆起2例,SMT内陥凹1例であった.MRI検査(N=16)では子宮内膜症の特徴像(T1強調像で肥厚腸管内の高信号嚢胞性変化)を8例に認め,7例は壁肥厚所見のみ,2例は癒着所見のみであった.3)15例は子宮内膜症で,1例は類内膜腺癌であった.内膜組織の漿膜からの着床部位は粘膜,粘膜固有層各1例,粘膜下層8例,固有筋層6例であった.全例に内膜組織の他臓器侵入を認めた(靱帯10例,卵巣9例,腹膜5例,膀胱3例,子宮3例,膣各2例,尿管,腸間膜,肺各1例).【結論】腸管子宮内膜症は直腸前壁に好発し,注腸での鋸歯状変化,横走ひだ,内視鏡でひだのひきつれを伴うSMT様隆起を特徴とする.腹腔内臓器との癒着を伴うことが多く,癒着や腸管狭窄に起因する高度の腹部症状を呈することがあり,QOL低下を招くことがある.まれに癌化例が存在することも念頭に置く必要がある.
索引用語