セッション情報 ポスター

大腸 その他1

タイトル P-238:

当院におけるS状結腸捻転症例の検討

演者 廣瀬 亮平(康生会武田病院消化器センター)
共同演者 眞鍋 繁雄(康生会武田病院消化器センター), 山口 琢(康生会武田病院消化器センター), 舟木 準(康生会武田病院消化器センター), 中部 奈美(康生会武田病院消化器センター), 峠岡 佑典(京都府立医科大学内分泌代謝内科学), 高橋 周史(康生会武田病院消化器センター)
抄録 【目的】S状結腸軸捻転は腹部救急疾患の一つである.緊急で外科的治療や内視鏡治療を行う必要があり,治療が遅れると死に至りうる疾患である.当院は腹部緊急疾患全般を全例引き受け治療に当たっている.今回我々は近年当院で経験した腹部緊急疾患の中でS状結腸軸捻転の症例について検討した.【対象】当院で2004年4月から2012年7月までに経験したS状結腸軸捻転症例24例について背景因子・治療法・再発の有無等を考察した.【結果・考察】年齢は44歳から91歳に分布(平均75.1歳),70歳以上の高齢者が18例(75%),男女比は5:1で高齢の男性に好発した.また既往については,パーキンソン病5例(20.8%)・脳梗塞5例(20.8%),便秘は半数以上に認められた.男性・高齢・上述の既往は本疾患の素因であるものと思われる.診断は全例腹部単純X線写真と腹部単純CTで行った.治療に関しては,全例でまず内視鏡的整復術が試みられ,粘膜の壊死が認められた3例(12.5%)は緊急手術となった.それ以外の21例(87.5%)に関しては内視鏡的整復術が奏功し症状改善を認めた.再発に関しては,緊急手術症例3例は以後再発が認められなかった.しかし内視鏡的整復術行った21例については,12例が退院後1ヵ月~2年の経過で再発を起こした.再発をきたした12例のうち4例にパーキンソン病,2例に脳梗塞,全例便秘が認められ素因が存在するものは再発のリスクが高いものと思われる.再発12例中,2例が待機的手術を受け,1例がパーキンソン病の治療薬の減量を行い,以後再発を認めていない.残りの9例に関しては現在に至るまで再発を繰り返している.【結語】内視鏡治療が一般化され本疾患の治療の第一選択は内視鏡的整復術となりつつあり当院でも良好な治療効果が得られている.ただ再発の問題は解決しておらず現段階では待機的手術が再発を予防する最も有効な手段である.再発のリスク評価・予測そして保存的治療による再発予防の確立は今後の課題である.
索引用語