セッション情報 ポスター

大腸 その他2

タイトル P-241:

当院における低分化大腸癌のまとめ~血清,組織内hCG陽性の原発性低分化大腸癌に全身化学療法が奏功した1剖検例を中心に~

演者 小野寺 学(網走厚生病院内科・消化器科)
共同演者 松田 可奈(網走厚生病院内科・消化器科), 川岸 直樹(網走厚生病院内科・消化器科), 佐野 逸紀(網走厚生病院内科・消化器科), 阿部 暢彦(網走厚生病院内科・消化器科), 長 いく弥(網走厚生病院内科・消化器科), 内田 多久實(網走厚生病院内科・消化器科), 藤永 明(網走厚生病院内科・消化器科), 市原 真(札幌厚生病院臨床病理科), 村岡 俊二(札幌厚生病院臨床病理科)
抄録 【背景】大腸低分化腺癌は分化型の腺癌に比べ一般的に悪性度が高く,予後不良とされている.特に低分化癌において,組織内hCG(Human Chorionic Gonadotropin)が陽性になる症例もみられ,予後不良な因子と考えられている.【対象】2010年4月~2012年8月まで,当院で診断した大腸癌(内視鏡治療適応外病変)100例を,レトロスペクティブに検討した.【結果】男性68例,女性32例で平均年齢69.6才であった.部位別では,結腸癌63例(盲腸8例,上行結腸12例,横行結腸10例,下降結腸2例,S状結腸31例),直腸癌37例であった.肉眼型分類は,1型13例,2型84例,5型3例であった.組織型は高分化型15例,中分化型79例,分化型以外の症例は6例(低分化癌4例,内分泌細胞癌1例,絨毛癌1例)であった.5型は1例のみ中分化癌であったが,低分化癌1例,絨毛癌が1例で,絨毛癌は組織内hCG陽性であった.低分化腺癌と絨毛癌の予後は,4例で化学療法を施行したが,平均6ヵ月で,予後不良であった.絨毛癌の症例は,72才の男性で直腸からS状結腸に不整に拡張した5型病変がみられ,絨毛癌と診断し,血清hCGも446(IU/l)と高値であった.周囲の浸潤から切除不能で,人工肛門造設術を施行した.初回治療は,Bev+FOLFOX療法を施行し,残存腫瘍からの浸出物の減少,血清hCGも76(IU/l)まで低下し,SDであったが,8コースにてPDとなり,二次治療のBev+FOLFIRI療法4コース,Cetuximab+CPT-11療法は1コース施行したが,いずれもPDで,全身状態悪化し,発症後8ヵ月で死亡した.【結語】当院の大腸癌の発生は,従来の報告と同様であった.血清,組織内hCG陽性の希少例もみられ,特に肉眼型が5型を示すような特殊型や低分化癌は,予後不良な場合が多く,注意すべき病変と考えられた.
索引用語