セッション情報 ポスター

大腸 その他2

タイトル P-245:

当科における大腸原発MALTリンパ腫の検討

演者 内海 潔(宮城県立がんセンター消化器科)
共同演者 相澤 宏樹(宮城県立がんセンター消化器科), 野口 哲也(宮城県立がんセンター消化器科), 及川 智之(宮城県立がんセンター消化器科), 塚本 啓祐(宮城県立がんセンター消化器科), 内藤 健夫(宮城県立がんセンター消化器科), 虻江 誠(宮城県立がんセンター消化器科), 鈴木 眞一(宮城県立がんセンター消化器科), 鈴木 雅貴(宮城県立がんセンター消化器科), 小野寺 博義(宮城県立がんセンター消化器科)
抄録 【目的】大腸原発MALTリンパ腫4例を臨床・病理学的に検討,治療方針を考察した.【方法】2009年4月~2012年3月に当科で診断・治療した大腸原発MALTリンパ腫4例について,年齢,性,主訴,局在,病変分布,画像,病理像,治療への反応性を検討,治療方針を考察した.【結果】年齢は53~75歳,男女比は1:1,主訴は無症状(検診便潜血反応陽性)2例,下腹痛と排便時出血が各1例,部位は直腸2例,結腸2例(S状結腸,横行結腸各1例),病変の分布は単発結節1例,粗大結節と多発小結節2例,多発結節1例で,結腸ではいずれも多発病変であった.画像上は全て大腸に限局しており(Lugano国際分類StageI),3例はPETで集積を認めたが1例は異常集積を認めなかった.内視鏡像は全て粘膜下腫瘍として認識され,超音波細径プローブでは第2-3層に限局する低エコー腫瘤として描出された.病理組織像は粘膜固有層から粘膜下層に異型リンパ球の増殖を認めるものの,胃原発MALTリンパ腫に多くみられるlymphoepithelial lesion(LEL)は認めなかった.最終診断は免疫組織化学(CD20,79α,bcl2陽性,CD3,5,10陰性,免疫グロブリン軽鎖発現の偏りなど)と,分子生物学的検査(免疫グロブリン重鎖遺伝子再構成あり)で全例行った.1次治療は全例でH.pylor(HP)除菌療法を行った.治療前にHPは3例陰性,1例陽性だったが.陰性例でも除菌療法が奏功する報告が散見され,低侵襲であることから第一選択とした.直腸の2例ではいずれも病変の縮小・消失が3か月以内に確認されたが,結腸の2例ではいずれも不変であった.横行結腸の1例では横行結腸切除術を施行したところリンパ節転移が確認されたため放射線照射を追加.S状結腸の1例は現在経過観察中である.【結論】直腸病変ではHP除菌療法で腫瘍の縮小が得られたが,結腸病変,多発病変では除菌抵抗性が示唆された.また追加治療として化学療法,放射線療法,外科切除のいずれも侵襲性が高く,適応決定に検討を要した.
索引用語