セッション情報 ポスター

肝癌5

タイトル P-249:

進行肝細胞癌に対するソラフェニブ治療における長期生存例の検討

演者 澤田 保彦(奈良県立奈良病院消化器内科)
共同演者 藤永 幸久(奈良県立奈良病院消化器内科), 関 建一郎(奈良県立奈良病院消化器内科), 才川 宗一郎(奈良県立奈良病院消化器内科), 神戸 大介(奈良県立奈良病院消化器内科), 永松 晋作(奈良県立奈良病院消化器内科), 下里 直隆(奈良県立奈良病院消化器内科), 松尾 英城(奈良県立奈良病院消化器内科), 中谷 敏也(奈良県立奈良病院消化器内科), 菊池 英亮(奈良県立奈良病院消化器内科)
抄録 【目的】進行肝細胞癌に対するソラフェニブ治療のSHARP試験における生存期間中央値は10.7ヵ月であるが,長期生存症例も存在することが知られている.今回,ソラフェニブ治療における長期生存例の臨床的背景について検討したので報告する.【方法】2009年10月から2012年9月に当科でソラフェニブを投与した進行肝細胞癌患者13例を対象とし,背景および治療効果について検討した.治療効果はmodified RECIST基準で評価した.【結果】対象は男性12例,女性1例,年齢中央値71(63-83)歳,HBV/HCV/NBNC 5/3/5例,Child-Pugh A 10例(5/6点9/1例),B 3例(7/8点2/1例),Vp3/4およびVv3の高度脈管侵襲例が5例,開始量は800/400mg 8/5例,CR/PR/SD/PD 0/2/5/6例であった.生存期間中央値は242(55-621)日,肝予備能別でみた生存期間中央値はChild-Pugh Aで277日,Child-Pugh Bで171日であった.また投与前のChild-Pugh score平均値は5.6であるのに対し投与1ヶ月後の平均値は6.7であり13例中10例でscoreの上昇がみられた.累積生存率は90日92%(12/13),180日73%(8/11),360日36%(4/11)であり,生存期間360日以上の4例は,全て男性,年齢中央値72(58-73)歳,HBV/HCV/NBNC 1/1/2,全てChild-Pugh A 5点,開始量は800/400mg 3/1例,生存期間は621日(生存中),458日(生存中),402日,377日(生存中),CR/PR/SD/PD 0/1/3/0例であった.生存期間621日の症例はChild-Pugh A 5点であり,Vp4であったにも関わらずPRとなり現在も外来通院中である.それに対し同じVp4であるもChild-Pugh Bであった1症例は,1ヵ月後にはPRであったにもかかわらず肝予備能は低下し生存期間は209日であった.【結論】ソラフェニブは投与後に肝予備能の低下がみられる傾向があり,投与前の肝予備能が長期生存に寄与している可能性が示唆された.肝予備能が保たれておれば,高度脈管侵襲例でもソラフェニブの効果が期待できると考えられた.
索引用語