セッション情報 ポスター

肝癌5

タイトル P-253:

慢性肝疾患患者にみられる肝腫瘍の診断におけるEOB-MRIの有用性の検討―乏血性で肝細胞相低信号の結節の診断と予後について―

演者 鈴木 都男(済生会千里病院消化器内科)
共同演者 良原 丈夫(済生会千里病院消化器内科), 真田 徹(済生会千里病院消化器内科), 山口 大輔(済生会千里病院消化器内科), 大田 真紀代(済生会千里病院消化器内科), 水野 龍義(済生会千里病院消化器内科), 後藤 靖和(済生会千里病院消化器内科), 奥田 偉秀(済生会千里病院消化器内科), 堀本 雅祥(済生会千里病院消化器内科)
抄録 【目的】慢性肝疾患の経過中に発見される肝腫瘍の診断にプリモビスト(Gd-EOB-DTPA)を用いた造影MRI(以下EOB-MRI)が近年使用されるようになった.EOB-MRIにて多血性で肝細胞相低信号の結節は肝癌とされている.一方,乏血性で肝細胞相低信号結節の評価は定まっておらず,今回はそのような結節を中心に検討した.【方法】対象は2008年6月より2012年3月までの間に,慢性肝疾患患者でEOB-MRI検査にて肝腫瘍を発見され精査を受けた50症例68結節(平均径15.5±8.3mm).EOB-MRIは1.5Tの装置を用い,特に乏血性で肝細胞相低信号の結節の診断と予後を中心に検討した.【成績】1.EOB-MRIの造影パターンと肝癌診断との関係.結節の造影パターン(動脈相-肝細胞相)と結節数(カッコ内は肝癌の数)はhigh-low22(22),high-iso12(2),iso-high1(1),iso-low20(6),low-low5(3),辺縁造影-low1(1),息止め不良-low7(4)であった.2.乏血性で肝細胞相低信号結節の診断.iso-lowとlow-lowの計25結節のうち,他の画像診断や病理学的検索にて9結節(平均径22.9mm)が肝癌と診断された.残りの16結節(平均径12.5mm)は,生検で肝血管腫と判明したlow-lowの1結節を除く15例が経過観察となった.3.乏血性で肝細胞相低信号結節の予後.平均16.6ヶ月にわたって画像診断でフォローアップされ,うち多血化して肝癌と診断されたものが3結節,増大のために生検されて肝癌と診断されたものが2結節であった.経過中に肝癌と診断された5結節の最初の発見時の径は11.4mm,それ以外の10結節は12.1mmであった.【結論】慢性肝疾患にみられる肝腫瘍について,EOB-MRIで乏血性の肝細胞低信号結節はむしろ肝癌以外のものが多い結果であった.経過観察の結果肝癌と診断されるものとそれ以外の結節との間には腫瘍径に差がなく,全例に慎重な経過観察が必要であると考えられた.
索引用語