セッション情報 ポスター

肝癌6

タイトル P-254:

肝細胞癌に対する肋間動脈からの動脈塞栓術の検討

演者 穴井 洋(奈良県立医科大学放射線科)
共同演者 Tanop Suriswan(奈良県立医科大学放射線科), 末吉 智(奈良県立医科大学放射線科), 田中 利洋(奈良県立医科大学放射線科), 西尾福 英之(奈良県立医科大学放射線科), 前田 新作(奈良県立医科大学放射線科), 日高 輝之(奈良県立医科大学放射線科), 山本 清誠(奈良県立医科大学放射線科), 森本 賢吾(奈良県立医科大学放射線科), 阪口 浩(奈良県立医科大学放射線科), 吉川 公彦(奈良県立医科大学放射線科)
抄録 【目的】肝細胞癌では栄養血管として肝外側副血行路が発達することが知られており,その一つに肋間動脈が関与することが知られている.肝細胞癌の肝外側副路としての肋間動脈からの動脈塞栓術の有用性を検討した.【対象と方法】肝細胞癌を栄養する肝外側副血行路として関与した肋間動脈に対する動脈塞栓術を施行した14例(18治療回数,24肋間動脈)を対象とした.肋間動脈は脊髄枝・背側枝を分岐するまでを近位部(p),腹腔に翻転するまでを中間部(m),翻転部以降を遠位部(d)に設定した.さらに腫瘍を最終的に栄養する分枝が他を栄養する血管が無く単枝で存在するもの(s)とそうでない複数枝のもの(c)に,計6パターンに分けた.カテーテル挿入位置は肋間動脈(A),分枝近位(B),分枝遠位(C)に分けた.肋間動脈の分岐パターン及びカテーテルの挿入位置と,動脈塞栓術の合併症について検討した.【結果】全例肝細胞癌の治療歴があり,肝切除の既往は4例であった.初回治療からは平均33.8カ月経過していた.全例で固有肝動脈が開存していたが,右肝動脈閉塞を6例に認めた.関与した肋間動脈は第8,9,10,11,12番で各2,5,11,4,2本であった.分岐パターン別ではp-s 9枝,p-c 4,m-s 1,m-c 5,d-s 4,d-c 1であった.カテーテル挿入位置はA 12枝,B 6,C 6であった.塞栓術施行後の平均生存期間は25カ月であった.塞栓血管24枝別の塞栓術後合併症の検討では,軽微な合併症(皮膚発赤,肺底部無気肺,胸水)は16枝,重篤な合併症は皮膚潰瘍を2枝に認め,神経障害は認めなかった.分岐パターン別で合併症の差は無かったが,カテーテル挿入位置では分枝遠位まで挿入した群では重篤な合併症は認めなかった.【結語】肝細胞癌に対する肋間動脈からの動脈塞栓術は有用であるが,重篤な合併症を回避するには肋間動脈の栄養する分枝遠位からの超選択的動脈塞栓術が必要あることが示唆された.
索引用語