セッション情報 ポスター

肝癌6

タイトル P-256:

当院における進行肝細胞癌に対するCDDP肝動注化学療法の現状

演者 朝日向 良朗(石川県立中央病院消化器内科)
共同演者 竹田 康人(石川県立中央病院消化器内科), 木藤 陽介(石川県立中央病院消化器内科), 伊藤 練磨(石川県立中央病院消化器内科), 中西 宏佳(石川県立中央病院消化器内科), 林 智之(石川県立中央病院消化器内科), 稲垣 聡子(石川県立中央病院消化器内科), 吉田 尚弘(石川県立中央病院消化器内科), 早稲田 洋平(石川県立中央病院消化器内科), 辻 重継(石川県立中央病院消化器内科), 竹村 健一(石川県立中央病院消化器内科), 山田 真也(石川県立中央病院消化器内科), 小林 健(石川県立中央病院放射線科), 土山 寿志(石川県立中央病院消化器内科)
抄録 【目的】当院における進行肝細胞癌に対するCDDP(IA-Call))肝動注化学療法の現状を検討する.【方法】当院で2006年9月からの6年間に,CDDP単剤のみで肝動注化学療法を施行した進行肝細胞癌29症例を対象.初回投与時の患者背景は,年齢中央値71歳(58-81歳),男性20例(69%),女性9例(31%).HBV4例(14%),HCV16例(55%),Child-Pugh分類A/B/Cが14/12/0例(48/41/0%)であった.進行度はStageIII/IVa/IVbが9/15/5例(31/52/17%)で,16例(55%)に脈管侵襲,3例(10%)に遠隔転移を認めた(重複あり).前治療として肝動脈化学塞栓術20例(69%),局所療法9例(31%),手術が1例(3%)でなされていた(重複あり).これらの症例について治療効果,生存期間,腫瘍マーカーの推移および副作用の検討をおこなった.【結果】CDDPの平均投与回数は2.8回(1-10回),1回投与量の平均は59.4mg/m2(46.8-76.3 mg/m2)であった.治療効果はCR1例(3%),PR2例(6%),SD9例(31%),PD19例(60%)で,奏効率10%,病勢コントロール率41%であり,生存期間中央値(MST)は7.0ヶ月であった.病勢制御可能であった例のMSTは9.2ヶ月と延長を認め,CRの1例は34ヶ月の長期生存が得られた.CDDP初回投与後4週から8週の腫瘍マーカーの変化において,AFPは6例(18%)で,PIVKAIIは7例(25%)で低下を認めた.投与前後で腎機能に大きな変化はなく,副作用で治療中止となった症例は認めなかった.【結論】十分な治療効果が得られた症例は多くはなかったが,奏功し長期生存の得られた症例がみられた.また肝予備能の低下傾向にある症例に対しても副作用の発現が少なく,比較的安全に繰り返し治療可能であった.しかしながら当院ではソラフェニブ投与や動注リザーバー療法の症例数がまだ不十分であるため,今後はこれらの症例数も積み重ね,治療の優劣に関してさらなる検討が必要であると考えられた.
索引用語