セッション情報 |
ワークショップ7(消化器病学会・肝臓学会合同)
消化器疾患と性差
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タイトル |
消W7-10:若年性大腸腫瘍における性差の検討
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演者 |
松本 健史(順天堂大・消化器内科) |
共同演者 |
永原 章仁(順天堂大・消化器内科), 渡辺 純夫(順天堂大・消化器内科) |
抄録 |
【背景】疫学調査上大腸癌は男性が女性を上回っていることが指摘されているが、近年大腸癌の増加に伴い若年発生の癌が注目されており、その特徴、性差を明らかにするためaverage riskといわれる50歳以下を対象に大腸腫瘍の臨床病理学的検討を行った。【方法】当院で大腸内視鏡を施行された50歳以下の10119例をA群:30歳以下、B群:31~40歳、C群:41~50歳に分類し1)各群の被検者数に対する腺腫、癌の発生率を男女別に検討した。2)発見された大腸癌175例の男女差をa)局在b)肉眼形態(早期癌のみ)c)病理組織学的所見(深達度、分化度)d)大腸癌家族歴について検討した。【結果】1)男女別腺腫の発生率はA群22.6%:2.2%(以下男:女)、B群:18.6%:9.4%、C群:37.5%:18.6%であった。癌の発生率ではA群0.6%:0.1%、B群:1.2%:1.6%、C群:2.3%:2.5%であった。発見された腫瘍中の癌の割合(癌/腺腫+癌)はA群19.4%:5.0%、B群:6.0%:14.4%、C群:5.8%:11.8%と、B群、C群において女性は発見された腫瘍数は男性より少なくても発見時には癌化しているものの割合が多かった。2)大腸癌175例において男性は118例(67.4%)、女性は57例(32.6%)でa)局在は男性;直腸30.5%、左側46.6%、右側22.9%、女性;直腸21%、左側59.6%、右側19.3%、b)肉眼形態は男性;隆起型87.3%、平坦型7.6%、陥凹型5.1%、女性;隆起型69.7%、平坦型27.3%、陥凹型3.0%、c)病理組織学的所見は男性;進行癌33%、早期癌67%、tub1 87.3%、tub2 8.5%、por 3.4%、muc 0.8%、女性;進行癌42.1%、早期癌57.9%、tub1 80.7%、tub2 17.5%、por 1.8%、muc 0%、d)大腸癌家族歴は、男性;11.0%、女性;8.8%であった。【結論】若年性大腸腫瘍の場合、男性は女性に比べ腺腫の発現頻度は高いが腫瘍を発生した場合癌発現の頻度(癌/腺腫+癌)は男性よりも高い傾向を示していた。よって女性の場合は腫瘍発見時には積極的に切除も検討する必要がある可能性が考えられた。 |
索引用語 |
性差, 若年性大腸腫瘍 |