セッション情報 ポスター

膵癌 化学療法2

タイトル P-271:

当院における膵癌治療の検討

演者 中田 悠紀(大阪厚生年金病院内科)
共同演者 加藤 幹那(大阪厚生年金病院内科), 加藤 穣(大阪厚生年金病院内科), 日比野 千尋(大阪厚生年金病院内科), 塩出 悠登(大阪厚生年金病院内科), 村井 一裕(大阪厚生年金病院内科), 甲斐 優吾(大阪厚生年金病院内科), 城 尚志(大阪厚生年金病院内科), 松村 有記(大阪厚生年金病院内科), 武田 梨里(大阪厚生年金病院内科), 森田 理恵(大阪厚生年金病院内科), 北 久晃(大阪厚生年金病院内科), 貫野 知代(大阪厚生年金病院内科), 西塔 民子(大阪厚生年金病院内科), 千葉 三保(大阪厚生年金病院内科), 前田 晃作(大阪厚生年金病院内科), 内藤 雅文(大阪厚生年金病院内科), 道田 知樹(大阪厚生年金病院内科), 伊藤 敏文(大阪厚生年金病院内科)
抄録 【目的】現在,切除不能進行膵癌に対するGemcitabin(GEM)療法が標準治療の一つとされており,一次治療とすることが多い.一方で,TS-1が保険承認され,GEST試験においてTS-1単剤療法がGEMに対し非劣勢を示し標準療法として期待されている.しかし,一次治療での両者の使い分けや放射線化学療法など切除不能膵癌の治療体系は確立されていない.今回我々は当院において治療を行った進行膵癌症例から治療の現状につき検討を行った.【方法】2008年5月より2011年11月までに当院内科において診断を得た膵癌患者44例についてretrospectiveに検討した.【結果】膵癌患者のうち化学療法を施行したのは24例で,放射線化学療法3例,外科手術7例,Best supportive careが10例であった.それぞれの生存期間中央値(MST)は9.8ヶ月,16.6ヶ月,23.8ヶ月,11.6ヶ月であった.外科手術群は化学療法群に対し有意に全生存期間(OS)の延長を認めたが,その他の群間には有意差は認めなかった.さらに化学療法群のうち,一次治療がGEMであった群とTS-1であった群とを比較検討した.患者背景としてはGEM群で有意に遠隔転移率が高く,MSTはGEM群で10.3ヶ月,TS-1群で13.6ヶ月であったが有意差はなかった.また治療継続期間はGEM群で5.1カ月,TS-1群で6.7ヶ月であった.【結論】一次治療をTS-1とする症例が少なく,有意差は認めなかったものの,TS-1を一次治療とすることで治療期間が延長し,その結果OSが延長する可能性が示唆された.膵癌では病勢の進行とともに経口摂取が困難となる症例が散見され,そのような可能性がある場合にはTS-1を一次治療として使用することも選択肢の一つと考えられた.今後はより精細な検討を行い,GEM,TS-1の使い分けの基準を定めていく必要がある.
索引用語