セッション情報 ポスター

膵癌 化学療法2

タイトル P-272:

当院における切除不能胆膵癌に対する化学療法の現況

演者 藤森 尚(国立病院機構九州医療センター消化器内科・臨床研究センター)
共同演者 河邉 顕(国立病院機構九州医療センター消化器内科・臨床研究センター), 伊藤 鉄英(九州大学病態制御内科), 寺松 克人(国立病院機構九州医療センター消化器内科・臨床研究センター), 原田 直彦(国立病院機構九州医療センター消化器内科・臨床研究センター), 中牟田 誠(国立病院機構九州医療センター消化器内科・臨床研究センター)
抄録 【背景】近年,膵癌ではGemcitabine(GEM)+erlotinib,胆道癌ではGEM+CDDP併用療法(GC療法)が使用可能となり,難治癌である両者の治療成績向上が期待されている.【目的】当科で施行したGEM+erlotinib併用療法,GC療法をまとめ,その有効性や安全性を検証する.【方法】2009年4月から2012年8月に当科で診断・治療した1)膵癌64例,2)胆道癌51例の内,一次化学療法として1)GEM+erlotinib併用療法を実施した膵癌9例(併用群),2)GC療法を実施した胆道癌6例を抽出した.ほぼ同時期にGEM単独療法(単独群)を一次化学療法として実施した1)膵癌18例,2)胆道癌10例をコントロール群として,両群をretrospectiveに比較検討した.【結果】1)血液学的有害事象に差を認めなかったが,併用群で胃炎,胸焼けなどの消化器症状(33%)と皮疹(89%)が有意に高率であった.併用群では間質性肺疾患(ILD)発生を認めなかったが,単独群で3例(16.7%)にILD発生を認め,GEM中止となった.最良総合効果は,PR/SD/PDの内訳が併用群2/6/1,単独群0/11/7,であり,病勢コントロール率は併用群で高率であった(89% vs 61%).無増悪生存期間(PFS)中央値は併用群120日,単独群65日であり,有意差は認めなかったが,併用群で良好な傾向であった.2)Grade 3以上の血液学的有害事象はGC群で高率であった(83% vs 30%).GC療法の2例(33%)は腎障害によりCDDP中止となった.PR/SD/PDの内訳がGC群0/5/1,単独群0/5/5,であり,病勢コントロール率はGC群で高率であった(83% vs 50%).PFS中央値はGC群243日,単独群124日,全生存期間中央値はGC群393日,単独群185日とGC群で良好な傾向であった.【考察】GEM+erlotinib併用療法では皮疹,消化器症状,GC療法では血液学的毒性,腎障害などから忍容性が低下しており,適切な症例選択と有害事象の管理が求められる.観察期間が短いものの,GEM単独と比較して両者とも治療成績は良好であり,今後の展望が期待される.
索引用語