セッション情報 ポスター

膵癌 化学療法3

タイトル P-276:

切除不能進行膵癌に対するエルロチニブ・ゲムシタビン併用療法の経験

演者 小林 陽介(聖隷浜松病院消化器内科)
共同演者 室久 剛(聖隷浜松病院消化器内科), 海野 修平(聖隷浜松病院消化器内科), 瀧浪 将貴(聖隷浜松病院消化器内科), 田村 智(聖隷浜松病院消化器内科), 木全 政晴(聖隷浜松病院消化器内科), 芳澤 社(聖隷浜松病院消化器内科), 舘野 誠(聖隷浜松病院消化器内科), 熊岡 浩子(聖隷浜松病院消化器内科), 清水 恵理奈(聖隷浜松病院消化器内科), 細田 佳佐(聖隷浜松病院消化器内科), 長澤 正通(聖隷浜松病院消化器内科), 佐藤 嘉彦(聖隷浜松病院消化器内科)
抄録 【目的】これまで本邦では切除不能進行膵癌に対する化学療法として,ゲムシタビンおよびS-1が標準治療薬として使用されてきた.2011年9月にEGFRチロシンキナーゼ阻害剤エルロチニブが承認されたが,未だどういった症例に奏効するのかというプロファイルは明らかになっていない.今回我々は当院でのエルロチニブ投与を行った症例の検討を行った.【対象】当院にて切除不能進行膵癌に対しエルロチニブ・ゲムシタビン併用療法を行った6例(男性3,女性3,平均年齢60歳)を対象とした.治療時期として1st lineとして使用した症例は4例,2nd line以降が2例であった.5例では鎮痛補助薬としてセレコキシブを併用した.【結果】6例の治療効果はPR3,SD1,PD1,判定不能1(治療開始直後の有害事象にて中止)であった.5例の無増悪生存期間は6,6,4,4,2ヶ月であった.有害事象として全例に皮疹(G3 1例),血球減少(G3以上3例)がみられ,また1例でG3の十二指腸潰瘍がみられた.2例で治療開始3日後に強い反応がみられ,一例は強い腹痛(SMV閉塞),一例では高熱(膵周囲炎)を認めたが,休薬にてすみやかに改善した.【結論】少数例ではあるが,6例にエルロチニブ・ゲムシタビン療法を施行し,病勢制御率(PR+SD)80%,無増悪生存期間中央値4ヶ月と良好な成績を得た.有効例では一定期間の病勢コントロールが可能であったが,PFSは最長6ヶ月間であり,更なる長期制御には2nd line以降に他の有効な化学療法の登場が必要と考えられた.G3以上の有害事象もみられたが,適切な対応で大きな支障なく治療継続が可能であった.初回治療の2例で治療早期に強い反応がみられており,この治療ではこうした反応が生じる可能性があることに留意する必要があると考えられた.今後症例集積により奏効例のプロファイルが明確になることを期待し,奏効例の経過を含め報告する.
索引用語