セッション情報 ポスター

膵癌 他

タイトル P-280:

陽子線治療を行った局所進行切除不能膵癌の2剖検例

演者 後藤 直大(神戸大学肝胆膵外科)
共同演者 松本 逸平(神戸大学肝胆膵外科), 寺嶋 千貴(兵庫県粒子線医療センター), 新関 亮(神戸大学肝胆膵外科), 浅利 貞毅(神戸大学肝胆膵外科), 椋棒 英世(神戸大学肝胆膵外科), 田中 正樹(神戸大学肝胆膵外科), 白川 幸代(神戸大学肝胆膵外科), 山下 博成(神戸大学肝胆膵外科), 岩崎 寿光(神戸大学肝胆膵外科), 石田 潤(神戸大学肝胆膵外科), 岡崎 太郎(神戸大学肝胆膵外科), 高橋 応典(神戸大学肝胆膵外科), 木戸 正浩(神戸大学肝胆膵外科), 味木 徹夫(神戸大学肝胆膵外科), 福本 巧(神戸大学肝胆膵外科), 伊藤 智雄(神戸大学病理診断科), 不破 信和(兵庫県粒子線医療センター), 村上 昌雄(獨協医科大学放射線科), 具 英成(神戸大学肝胆膵外科)
抄録 背景:陽子線は優れた線量分布を有し,膵癌治療においても高い抗腫瘍効果が期待されている.しかしその長期的な効果については十分に検討されていない.今回,局所進行切除不能膵癌(LAPC)に対し化学療法併用陽子線治療を行った2剖検例を報告する.症例1:56歳男性.膵体尾部LAPCに対しGEM1000mg/m2を8コース施行後,GEM併用(800mg/m2)陽子線治療(67.5GyE/25Fr)を行った.照射後6,12か月後のCTでは腫瘍は縮小を認め,FDG-PETの集積も消失した.19か月後に遠隔転移をきたし,全身化学療法を継続したが治療開始より38か月で原病死した.剖検所見では主腫瘍の高線量照射部位に一致し著明な線維化,硝子化を認め,高い局所効果が示唆された.症例2:64歳女性.膵頭部癌LAPCに対してGEM1000mg/m2を6コース施行後,GEM併用(800mg/m2)陽子線治療(67.5GyE/25Fr)を行った.照射後7ヶ月でFDG-PETの集積は消失し,13か月目までは局所制御されていたが,18か月後より腫瘍の増大を認めた.その後も全身化学療法を行い,遠隔転移は認めなかったものの,局所制御が困難となり治療開始後より37か月後に原病死に至った.剖検所見では膵頭部に高度の線維化・硝子化がみられ,索状・小胞巣状に浸潤する腺癌を認めた.結語:本療法の局所制御効果は臨床的には一定期間有効であり,比較的長期の生存が可能であった.一方,剖検時所見では腫瘍は残存,増殖所見を認めその効果の限界も示された.照射プロトコールの改良,集学的治療の開発が今後の課題である.
索引用語