セッション情報 ポスター

膵癌 他

タイトル P-281:

膵癌症例に合併した消化管出血に関する検討

演者 大坪 公士郎(金沢大学がん高度先進治療センター)
共同演者 毛利 久継(金沢大学がん高度先進治療センター), 山下 要(金沢大学がん高度先進治療センター), 安本 和生(金沢大学がん高度先進治療センター), 矢野 聖二(金沢大学がん高度先進治療センター)
抄録 [目的]膵癌症例では,閉塞性黄疸,腹水などの合併症を来すことが多いが,時に消化管出血を合併し,致死的な転帰をたどることも少なくない.しかし,多数の膵癌症例における消化管出血に関する検討はほとんど報告されていない.今回我々は膵癌症例に合併した消化管出血につき検討を行った.[対象と方法]2003年1月から2012年9月までに当科にて加療を行った膵癌症例146例を対象とした.うち95例において上部消化管内視鏡検査が施行されていた.年齢は29歳から89歳(中央値65歳),性別は男性94例,女性52例,腫瘍の占拠部位は頭部72例,体尾部75例(頭部,体~尾部の重複癌1例を含む),臨床病期(JPS)はStageIII 4例,StageIVa 52例,StageIVb 90例であった.消化管病変に伴う吐血,下血,貧血進行を来した症例を消化管出血合併例と定義し,その頻度,原因,転帰などをretrospectiveに解析した.[結果]膵癌症例146例中,計20例(14%)で消化管出血を認めた.原因は,腫瘍の消化管浸潤6例(十二指腸浸潤5例,腹膜播種による下部消化管浸潤1例),静脈瘤2例(いずれも食道静脈瘤),放射線関連胃十二指腸粘膜病変4例(胃潰瘍2例,胃炎2例),潰瘍5例(放射線関連を除く,うちNSAIDsによるもの3例,胆管ステントによるもの1例),門脈圧亢進症性胃症1例,原因不明の上部消化管出血2例であった.ほとんどの症例が膵癌の経過中に発症したものであり,病勢の進行に伴うものが多かったが,放射線療法やNSAIDsなど治療に関連したものもみられた.また,保存的あるいは内視鏡的止血術にて出血のコントロールが可能であった症例が多かったが,出血のコントロールができなかった5例(十二指腸浸潤2例,食道静脈瘤1例,原因不明の上部消化管出血2例)が死亡した.[結語]膵癌症例では,消化管出血を14%に合併し,中には致死的な転帰となった症例もみられた.膵癌症例では消化管出血の発症にも十分な注意を払い,出血が疑われた際には速やかな内視鏡的処置などの対応が必要と考えられた.
索引用語