セッション情報 ポスター

膵癌 他

タイトル P-284:

当科における膵漿液性嚢胞腫瘍経過観察例の検討

演者 景岡 正信(藤枝市立総合病院消化器科)
共同演者 丸山 保彦(藤枝市立総合病院消化器科), 大畠 昭彦(藤枝市立総合病院消化器科), 森 雅史(藤枝市立総合病院消化器科), 志村 輝幸(藤枝市立総合病院消化器科), 宇於崎 宏城(藤枝市立総合病院消化器科), 渡辺 文利(浜松南病院消化器病・IBDセンター)
抄録 【目的】膵漿液性嚢胞腫瘍(SCN)は画像診断の進歩により発見例が増加しているが,当科では悪性例が稀との理由で経過観察の方針としている.今回当科のSCN経過観察例の検討を行った.【対象と方法】2001年4月以降当科にてSCNと診断され経過観察された15例を対象とし,臨床像,診断modality,予後を検討した.SCNの診断は画像診断にてHoneycomb appearanceを認めたものとした.【結果】男性2例女性13例.平均年齢64.7歳(26~84歳).平均観察期間56.2ヶ月(6~137ヶ月).有症状2例(13.3%).合併疾患は糖尿病3例(20%),多発性嚢胞腎1例(6.7%),IPMN1例(6.7%).腫瘍の局在は頭部9例(60%),体部2例(13.3%),尾部4例(26.7%).多発例は認めない.平均腫瘍径30.5mm(13~54mm).主膵管拡張は4例(26.7%)に認め,内3例は腫瘍の尾側膵管拡張であった.SCNの亜型分類はMicrocystic type5例(33.3%),Mixed type10例(66.7%).診断modality別のHoneycomb appearance描出能は腹部エコー20%,CT42.9%,MRI53.3%,EUS100%.ERCPは3例に施行されたが腫瘍と膵管の交通は認めず.造影超音波を8例に施行し全例で隔壁の染影を認めた.経過観察中7例(46.7%)で増大傾向を認めた.また1例で腫瘍の尾側膵管に膵石を伴う慢性膵炎を生じた.死亡例は脳腫瘍による1例.経過観察中,明らかな悪性の所見(周囲浸潤や他臓器転移)を認めたものはない.【考察】経過観察中SCNは明らかな悪性の所見を認めず予後は良好であった.SCNの診断にはEUSが有用であった.一般的に(1)他の膵腫瘍と鑑別が困難(2)腫瘍による有症状(3)巨大ないし増大傾向が手術適用とされるが,どれくらいの大きさになれば手術が必要かは今後の検討を要する.【結語】SCNと診断がつけば経過観察することは妥当である.
索引用語