セッション情報 ポスター

肝癌7

タイトル P-287:

脈管浸潤を伴う切除不能肝細胞癌に対する放射線治療併用リザーバー動注の現状

演者 谷 丈二(香川大学消化器神経内科)
共同演者 三村 志麻(香川大学消化器神経内科), 野村 貴子(香川大学消化器神経内科), 三好 久昭(香川大学消化器神経内科), 米山 弘人(香川大学消化器神経内科), 樋本 尚志(香川大学総合診療部), 出口 章広(香川大学消化器神経内科), 正木 勉(香川大学消化器神経内科)
抄録 【目的】肝細胞癌に対する治療については,外科切除・RFA・肝動脈カテーテル治療・分子標的薬が選択されるが,ガイドラインに記載はないものの放射線治療の有効性が報告されている.今回,脈管浸潤を伴う肝細胞癌に対する放射線治療併用リザーバー動注について検討したため報告する.【対象・方法】2009年1月より2011年12月の間で当院にて脈管浸潤を伴う肝細胞癌に対して脈管浸潤部に放射線治療を50Gy以上,肝内腫瘍に対してNewFP療法をレジメンとしたリザーバー動注を含む集学的治療を施行し,治療開始から1年以上の経過を追跡できた6例を対象とした.男性5例,女性1例,年齢は59~89歳,73.8±10.4歳であった.背景肝:HCV/NBNC:5/1例.Child-Pugh A:6例.肝障害度A/B/C:1/5/0例.治療開始時の病期は,IVa/IVb:5/1例.照射部位の内訳は,門脈腫瘍栓2例,肝静脈-下大静脈塞栓症3例,肝内胆管1例.同治療施行後1例が外科的切除,5例がソラフェニブ導入した.肝細胞癌取り扱い規約第5版に準じ,照射対象病変の直接治療効果判定は,最も治療効果があった時点で評価し,総合評価は治療後6ヶ月後を目安にRECIST基準にて総合判定した.【結果】脈管浸潤対象病変の最大直接治療効果は,TE4/TE3/TE2/TE1:4/1/1/0で奏功率83.3%で局所制御率:100%であった.総合評価は,CR/PR/SD/PD:2/3/1/0で奏功率:83.3%で腫瘍制御率:100%であった.放射線治療による重篤な合併症はみられなかったが肝予備能悪化が1例,肝萎縮が1例認めた.1年生存は,83.3%で平均生存期間は20.6ヶ月であった.【結論】放射線治療併用リザーバー動注は,局所制御能に効果的で安全に施行できる治療法であり,標準的治療のみでは困難な症例に対して,放射線治療併用リザーバー動注との組み合わせによる集学的治療は有効な選択肢になる可能性がある.
索引用語