セッション情報 ポスター

肝癌7

タイトル P-290:

肝細胞癌の生物学的特性を意識したマイクロ波凝固壊死療法(MCN)の新しい手技について

演者 高見 裕子(九州医療センター肝胆膵外科)
共同演者 立石 昌樹(九州医療センター肝胆膵外科), 龍 知記(九州医療センター肝胆膵外科), 和田 幸之(九州医療センター肝胆膵外科), 才津 秀樹(九州医療センター肝胆膵外科)
抄録 当科では開院以来,肝細胞癌(以下HCC)に対して,マイクロ波凝固壊死療法(MCN)を肝切除と使い分けてきた.その結果,初発HCCに対するMCN症例は776例(平均腫瘍径26.7mm,平均腫瘍個数2.51個,肝障害度A 355例(46%),Child-Pugh(C-P)A 548例(71%))の累積生存率は5年61.4%,10年35.0%で,また3cm3個以内HCC(421例)の累積生存率は5年70.9%,10年46.1%.C-P別の累積生存率はA 548例で5年69.7%,10年40.3%,B 228例で5年44.4%,10年23.5%であり,MCNは単独でも良好な治療成績が得られている.ところで,MCNの基本手技“HCC周辺から中心部に向かって行う”ということに変更はないものの,現在までにその手技を少しずつ改良してきた.その中での最近の工夫としては,HCCに対してMCNを行う前に,まずカラードプラーで輸出入血管を同定し,そのすぐ近傍を穿刺して凝固する,という方法である.元々腫瘍内圧の上昇しているHCCに対して電極を直接穿刺して凝固加温することは,腫瘍内圧をさらに上昇させることとなり,HCCの被膜内外に存在する腫瘍栓をトコロテン式に押し出して飛散させているのではないかということが懸念される.そこで,我々はまず,肝動脈の血流を減少させるとともに,続いて,加熱された血液をHCC辺縁の門脈内に充満させることにより,腫瘍栓を熱変性させviabilityを低下出来ないかと考えた.最近では,MCN前にまず,この輸出入血管を凝固するという工夫を中分化型HCCには可能な限り追加するようにしている.さらには,この操作及びsafty marginを従来通り65ワットという最大出力で行った方が良いのか,また40ワット前後の低出力で行った方がよいのか現在試行錯誤中であり,課題として検討中であるが,今回はその手技を治療成績等とともに紹介したい.
索引用語